2013 Fiscal Year Research-status Report
ゲストの捕捉および放出を制御できる刺激応答性シクロファン型ホスト多量体の開発
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24550166
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
林田 修 福岡大学, 理学部, 教授 (20231532)
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Keywords | ホストゲスト化学 / シクロファン / クラスター効果 / 刺激応答 |
Research Abstract |
効果的な薬物送達システムを開発するためには、刺激応答型の薬物放出システムが有効であることから、外部刺激に応じてゲストに対する捕捉能が制御できる新規ホスト分子の開発を行った。具体的には、分子骨格内にジスルフィド結合を有するカチオン性とアニオン性のシクロファン(1と2)を合成した。これらシクロファンは環骨格のサイズが従来のホスト分子と比べて大きいために、分子サイズがより大きいBis-ANS、ピレン酪酸(PA)、ピレンメチルアミン(PMA)などをゲストとして検討した。Jobプロット法から、これらシクロファンとBis-ANS、PA、PMAとの結合定数は数千程度であることが蛍光滴定実験からわかった。また、抗がん剤であるDOXなどをゲストとして用いた場合、カチオン性の1よりもアニオン性の2の方が抗がん剤をより強く捕捉することもわかった。塩酸塩であるDOXは、アニオン性の2とより強く静電相互作用するためと考えられる。さらに2は、ジチオトレイトールなどの還元剤の添加により、ジスルフィド結合が開裂することでシクロファンが分解し、ゲスト分子が放出できることもわかった。一方、蛍光消光性のダブシル基を導入したシクロファンも合成した。ダブシル基を有するこのシクロファンを用いると蛍光性ゲストの捕捉に伴って、蛍光が消光することがわかった。この場合にも、ホストとゲストの静電荷の組み合わせが重要であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分子骨格内にジスルフィド結合を組み込んだカチオン性とアニオン性のシクロファンの合成も順調に進行した。また、アニオン性のシクロファンが抗がん剤であるDOXなどのゲストを捕捉できること、さらに還元剤の添加によってゲストの放出に成功したことから、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、より効果的なゲスト放出能が期待できるホスト分子を設計し、合成する。また、蛍光消光性基などを導入したホストに対しても、ゲスト放出能を賦与した設計を行う。
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Research Products
(9 results)