2012 Fiscal Year Research-status Report
水熱酸化法とフェントン型促進酸化による有機塩素化合物分解の反応機構の解明と応用
Project/Area Number |
24550177
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
米谷 紀嗣 大阪市立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80295683)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 廃棄物処理 / 有機塩素化合物 / 水熱酸化法 / 触媒 / フェントン法 |
Research Abstract |
研究計画に従い、平成24年度では(1)水熱酸化反応装置の製作、(2)安息香酸をヒドロキシラジカルのプローブに用いた反応機構の解明、(3)Cuイオンの価数が反応性に及ぼす影響、の3点について研究を実施した。その結果の以下に述べる結果を得た。 (1)まずフロー式の水熱酸化反応装置を作製した。設備備品として購入したHPLCポンプを反応溶液の送液用に使用し、配管やバルブなども本助成金の支援により購入した。自作した反応器の内容積は1 mlであり、送液流量を変えることで反応溶液の滞留時間を制御できるようにした。 (2)本研究では独自に開発したCu担持酸化チタン触媒を用いることで有機塩素化合物の水熱酸化分解を促進させる。その反応機構は、触媒に含まれるCuイオンと過酸化水素のフェントン型反応が水熱条件で加速され、ヒドロキシラジカルが多量に生じることによるものと推測される。そこで、安息香酸がヒドロキシラジカルを補足しサリチル酸を定量的に生成することを利用して、ヒドロキシラジカルの生成量を調査した。その結果、反応温度200℃付近でサリチル酸生成量が大幅に増加することを見出した。これは、触媒活性が最大となる温度と一致している。 (3)最後に、Cuイオンの価数の違いが反応性に及ぼす影響を調査した。酸化銅(I)と酸化銅(II)を用いてクロロフェノールの水熱酸化分解に及ぼす触媒効果を調べたところ、酸化銅(II)の方が高い活性を示すことを見出した。 以上の結果から、触媒作用のメカニズムがフェントン型反応によるものであることがほぼ確実となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、分解処理が困難な有機ハロゲン化合物およびそれらを含む廃液等に対し、水熱酸化法をベースに独自に開発したフェントン触媒または酸化チタン光触媒を用いることで酸化分解を促進させ、反応温度を大幅に下げて処理を可能にすることを目的としている。特に今回は、反応機構の解明、触媒材料の改良、実用性を考慮した実験装置の製作と評価などを期間内に実現することを目指している。 この目的を達成するため、平成24年度の研究実施計画では、(1)反応機構の解明、(2)反応装置の製作、(3)各種有機塩素化合物の処理、の3点を計画していた。上に述べたとおり、(1)と(2)についてはほぼ目的を達成したといえる。特に、反応機構が事前に想定していた通り、触媒に含まれるCuイオンと過酸化水素のフェントン型反応によることが確実になったことは大きな成果であった。また、(3)についても、有機塩素化合物として新たにクロロフェノールを用いて水熱酸化分解を行い、本技術によって高度処理が可能であることを実証できた。
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Strategy for Future Research Activity |
ほぼ計画通り研究が進行しているので、今後も当初計画に沿って研究を進める予定である。具体的には、平成25年度に、反応物や中間体などの経時変化を詳細に分析し、反応機構の速度論的解析を試みる。さらに、触媒性能の向上を目指して、既に高活性であることが判明しているCu以外の金属をドープすることを検討する。平成26年度には、前年度までの成果を集約し実用化へ向けた検討に着手する。現実稼働に近い固定床型反応器の試作と評価、反応方式を固定床型へ変更することに伴う触媒の改良、多様な有機ハロゲン化合物への応用などを計画している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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