2013 Fiscal Year Research-status Report
多機能性を有するナノユニット複合金属酸化物触媒の開発
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24550181
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Industrial Technology Research Institute |
Principal Investigator |
染川 正一 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, その他部局等, 研究員 (20520216)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 洋人 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, その他部局等, 研究員 (00500901)
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Keywords | 量子ドット / 触媒 / VOC処理 / 電子移動 / ポーラス材料 |
Research Abstract |
・前年度に引き続き、様々な金属酸化物を1nm前後の細孔径を有するシリカマトリックスないに導入してその物性を調べた。それら金属酸化物量子ドットの中で、Crシリカマトリックス内で固定したクロムの酸化物量子ドットは六価でも安定である。クロム酸化物量子ドットは空気中・加熱(480℃)条件下で反応物(エタノール等)が存在するときはCr2O3(+3)になりやすく、空気のみで加熱した時はCrO3(+6)になりやすい特性があり、Cr2O3⇔CrO3のような酸素の吸脱着が反応物の有る無しのみで起こることがTG-DTA(示唆熱熱重量同時測定)の結果から示唆された。CrO3は室温で強い酸化剤として働き、Cr2O3は加熱条件下で燃焼触媒として働くことを応用し、昇温室温時からVOC酸化処理が可能な新しい触媒式処理方法として利用できることを示した。 ・通常ポーラスシリカ合成時に金属イオンを添加すると比表面積は減少することが多いが、無溶媒法でセリウムイオンをシリカ合成時に僅かに添加することで、動的吸着に適した細孔径である1nm付近の穴径を保ちつつ、比表面積を増大することに成功した。実際の動的吸着能もエタノールを用いて破過する時間を測定することで調べ、セリウムイオンの効果を確認した。 ・従来合成が困難であった酸化チタン量子ドットについて、水熱合成法を工夫して酸化チタン量子ドットを1nm前後のシリカマトリックス細孔内に析出されることに成功した。以前作製に成功していた酸化タングステン量子ドットと今回の酸化チタンの二種類の金属酸化物の複合量子ドットを作製し、光照射下において、電子移動が起こることを吸収スペクトル解析で分光学的に確かめた。 ・UVや可視光を用いてVOCガスの分解や水の分解活性を測定することが可能な光触媒評価システムを構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以下の5点より、おおむね順調と考えた。①クロム酸化物量子ドットを用いたユニークな触媒の開発に成功した。②セリウムイオンの同時添加で動的吸着に適した1nm近い細孔径を保持しつつ比表面積を増大できることを見出した。③2種類の金属酸化物量子ドットの複合系を構築し、それら量子ドット間で電子移動が起こることを分光学的に確認した。⑤光触媒評価系が完成した。⑤前記以外の金属でも、量子ドットにすることによって、バルクとは異なる現象がいくつか観測されている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの知見をもとに複数の量子ドットを複合させ、VOC分解触媒活性の向上を図るとともに、光触媒の電化分離の促進やZスキーム系を利用した可視光応答光触媒への応用を考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
触媒評価装置をユニットで部品ごとに購入し、組み立ては当方で行ったため、当初の予想よりも割安になった。 光触媒複合のための各種試薬や光源の乾球の予備を購入する予定である。
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