2012 Fiscal Year Research-status Report
天然物由来のシガテラ解毒物質の単離、構造決定および作用機序の解明
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24550192
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
濱田 季之 鹿児島大学, 理工学研究科, 准教授 (40321799)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | シガテラ解毒活性 / 化学構造 / ペプチド / アルカロイド / 海綿 / 紅藻 / ブロモインドール / 国際情報交換 |
Research Abstract |
南方系薬用植物由来のシガテラ毒解毒活性化合物の単離:古くから太平洋地域で利用されている「伝承薬用植物」、および医薬品開発や生命化学の基礎研究において重要な役割を果たす二次代謝産物を含んでいる「海洋無脊椎動物」と「海藻」の3生物種を探索源として、化合物レベルでのシガテラ解毒物質の探索を行っている。今年度は、「伝承薬用植物」としてパパイアの雄花とキダチトウガラシの実を、「海洋無脊椎動物」としてマレーシア産海綿6種類を、および「紅藻」として奄美大島産ソゾノハナを探索源として、それぞれメタノール抽出や二層分配を行い、n‐ヘキサン層、90%メタノール層、n‐ブタノール層、水層の計4つの画分に分配した。得られた画分についてシガテラ解毒活性試験を行った結果、いくつかの層で活性を確認した。シガテラ解毒活性を示したマレーシア産の種未同定海綿(No. TH11-6-4)の90% MeOH層より3つのペプチド化合物を単離し、その化学構造を決定した。また、同海綿の n‐ブタノール層の活性フラクションより4つのアルカロイド化合物を単離し、その平面構造を決定した。そのうち、1つの化合物はシガテラ解毒活性を示した。 マレーシアサバ大学のCharles S. Vairappan博士のもとで単離された106種の化合物についてシガテラ解毒活性評価を行った。その結果、ブロモインドール系化合物が特に強い活性を示した。そこで、奄美大島で採取したソゾノハナ(紅藻)からさらに6つのブロモインドールを単離し、上記3化合物を合わせて構造活性相関を行い、良好な知見が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シガテラには有効な化合物を見つけ出すことには成功した。また、同種の化合物群において化学構造と活性の相関関係についても知見が得られた。今後は活性のある化合物が、イオンチャンネルおよびそれに結合したシガトキシンにどのように影響を与えているか精査する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、「伝承薬用植物」、「海洋無脊椎動物」、「海藻」の3生物種からシガテラ解毒物質の探索を進める。更に、構造活性相関や作用機序の解明に向けて、生体内の標的タンパク質との相互作用解析、Naチャンネルモデルペプチドの創製やそれを用いた相互作用解析、パッチクランプ法などを用いた機能解析を目指し、研究を展開していく。 また、得られた結果については、国内国外の学会等で公開したり、学術雑誌へ投稿し、広く社会にアウトプットしていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、「伝承薬用植物」、「海洋無脊椎動物」、「海藻」の3生物種からシガテラ解毒物質の探索を進めるために、化合物の分離精製に用いる実験器具や有機溶媒、シガテラ解毒活性試験に用いる試薬やキット等の消耗品、情報交換を目的とした国内外の学会旅費、試料採集のための諸費用、その他、構造決定に用いる核磁気共鳴装置や質量分析装置の使用料などを計画している。
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Research Products
(6 results)