2013 Fiscal Year Research-status Report
磁場配向セラミックス創出のための結晶化学的磁気異方性マニピュレーション
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24550236
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
堀井 滋 京都大学, エネルギー科学研究科, 准教授 (80323533)
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Keywords | 磁気異方性 / 磁場配向 / 三軸結晶配向 |
Research Abstract |
第二年度である平成25年度では、 ①斜方晶系八配位の配位子場における希土類(RE)イオンの磁気異方性 ②双晶を含むYBa2Cu3Oy超伝導体のドメイン制御と三軸磁場配向度の関係 ③モジュレーション構造をもつビスマス系高温超伝導体の三軸磁場配向 について検討した。①については、一イオン磁気異方性の目安である2次のStevens因子の符号が異なる2種類のRE'およびRE"イオンを利用して、(RE'1-xRE"x)2Ba4Cu7O15-y超伝導体の三軸配向を行い磁化軸転換に必要なRE"ドープ量を決定し、この値からこれら2種類の希土類イオンの三軸磁気異方性の比を明らかにした。重希土類イオンの磁気異方性が高いこと、RE種の選択によって面内異方性、c軸異方性の増強に与える影響が異なることがわかった。②については、双晶を生み出す一次元鎖部のCuイオンを高価数のCo,Feイオンでドープし双晶形成の種類と三軸磁場配向効果の相関を見出した。具体的には、Co,Feドープによって双晶の種類を変わると、2タイプある配向形態のうち、[110]方向に磁化困難軸をもつ配向が促進される傾向を示し、高価数金属イオンのドープにより配向形態を選別できる可能性があることを明らかにした。また、③については、分子レベルでは正方晶であるビスマス系高温超伝導体においても結晶粒レベルでモジュレーション構造により弱い斜方晶となることを利用して三軸磁場配向が可能であることがわかった。原理的には、実用超伝導体である希土類系およびビスマス系の両超伝導物質において磁場による三軸方向の配向制御が可能である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者の異動や耐震補強工事に伴う学内における研究室移設があり、一部の研究活動については研究の遂行がやや遅れた結果、研究費の執行も一部先送りすることとなっている。一方で、磁気異方性の理解に関する基礎的研究については、前年度の前倒し効果もあり順調に進んでいる。総合的に判断すると、おおむね順調と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である平成26年度において、以下の点を明らかにし総括する。 1.最も磁気異方性が大きいイオンのひとつであるRE=Erを利用した三軸配向セラミックスの試作 2.双晶を含むY123超伝導体における酸素量制御によるドメイン制御と三軸磁場配向効果の解明 これらの実験結果を踏まえ、動的楕円磁場を用いた三軸結晶配向における物質設計指針について、分子レベルおよび結晶粒レベルの各側面から結論付ける。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度においては、研究代表者の異動および異動先の耐震補強工事に伴う研究室の移設があった。この移設によって、研究設備の分解・再立ち上げなど現状復帰までに実験ができず、研究活動が滞る状態が4ヶ月程度続き、予算の執行に遅れが生じた。 研究の進行状況としてはおおむね順調であり、全体としては研究遂行そのものの変更をする必要はないと判断する。異動・移設に伴う予算執行の遅れはあったが、次年度においては、当該年度で執行する予定であった物品と併せて予算の執行を進める予定である。
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Research Products
(21 results)