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2012 Fiscal Year Research-status Report

単一分子分光法による温度応答性高分子の一本鎖ダイナミクスの評価

Research Project

Project/Area Number 24550254
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

Research InstitutionKyoto Institute of Technology

Principal Investigator

町田 真二郎  京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (20262032)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2015-03-31
Keywords温度応答性高分子 / 単一分子分光 / コイル-グロビュール転移 / ダイナミクス
Research Abstract

蛍光性分子であるペリレンテトラカルボン酸ジイミド(PTCDI)の両末端にブロモメチル基を導入した誘導体を合成し、これを重合開始剤とするカチオン開環重合により、一本鎖あたり1個の蛍光分子を導入した温度応答性高分子ポリ(2-イソプロピル-2-オキサゾリン)(PiPOx)を重合することに成功した。得られた高分子は、数平均分子量が4,800、5,500および6,500の3種であり、分散は1.16~1.21と比較的単分散であった。試料水溶液の濁度測定より、試料が33 ℃付近に下限臨界溶解温度を示すことがわかった。一方、試料水溶液の吸収および蛍光スペクトルは、有機溶媒中のそれとは大きく形状が異なったことから、疎水性であるPTCDI部分が水溶液中で会合しミセルを形成していることがわかった。当初の計画では、得られた試料の希薄水溶液を温度制御下で単一分子分光測定することにより、コイル-グロビュール転移における一本鎖ダイナミクスに関する知見を初めて得る予定であった。しかし、希薄水溶液中であっても会合して一本鎖にならないことから、本系での単一分子分光測定を断念せざるを得なくなった。希薄水溶液中でも会合した理由として、PiPOx鎖が比較的剛直であるため疎水性のPTCDI部位を一本鎖が取り囲んで安定化させるようなコンフォメーションを取り難かったことが考えられた。この結果は、本研究の目的を別にすれば、近年注目度を増しているPiPOx水溶液の性質に関する新たな知見を与えるものといえる。
そこで、温度応答性高分子をより柔軟なポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PNIPAM)に変更することとした。一本鎖あたりに1個のPTCDIを含むPNIPAMを合成するため、原子移動ラジカル重合の開始剤となるPTCDI誘導体の合成を行い、現在精製を終えた段階である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

「研究の成果」欄に記載したように、一本鎖あたり1個の蛍光性部位を含む温度応答性高分子の合成に成功したものの、希薄水溶液中でも会合し一本鎖とならないことがわかったため、試料を変更して合成をやり直すこととなった。そのため当初計画よりも研究の進行に遅れが生じることとなった。しかし、現時点で新たな重合開始剤の合成および精製を終えており、計画の遅れはそれほど大きいとはいえない。

Strategy for Future Research Activity

「研究の成果」欄に記載したように、温度応答性高分子としてPNIPAMを用いることにして、その重合開始剤の合成・精製を終えている。今後、原子移動ラジカル重合により一本鎖あたり1個の蛍光性部位を含むPNIPAMを合成し、濁度測定などの基礎データを得た上で、当初計画通り温度制御下において単一分子分光に挑戦する予定である。
具体的には、ガラス基板上に高分子鎖の片末端をごく希薄な濃度で固定化し、水中・温度制御下での単一分子分光を行う。その際の偏光度の時間変化を測定することにより、温度応答性高分子一本鎖の相転移ダイナミクスに関する知見を初めて得る。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

当初計画通りに、備品として凍結乾燥器および電子冷熱式単一セルホルダを購入し、合成試料の精製および濁度測定を迅速に行えるようになった。またガラス器具や透析膜等の消耗品を購入し使用した。しかし、研究計画の遅れにより当初計画ほどには透析膜等の消耗品を必要としなかったため、残額を次年度に使用することとした。今後は、試薬・ガラス器具・透析膜等の消耗品費および旅費(高分子討論会・金沢・25年9月)として予算を使用する予定である。

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Published: 2014-07-24  

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