2014 Fiscal Year Annual Research Report
単一分子分光法による温度応答性高分子の一本鎖ダイナミクスの評価
Project/Area Number |
24550254
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
町田 真二郎 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (20262032)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 温度応答性高分子 / 蛍光性色素 / 原子移動ラジカル重合 / スタッキング / 会合体 / ヒステリシス / 動的光散乱 / 蛍光スペクトル |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に合成して得られた、蛍光性分子を中央付近にもつポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PTCDI-PNIPAM)について、その水中での温度応答挙動を詳細に評価するため、静的および動的光散乱測定を行った。静的光散乱測定より、希薄水溶液中において、PTCDI-PNIPAMはおよそ2000本程度の高分子鎖からなる球状の会合体を形成することがわかった。また、動的光散乱測定より、その25℃における流体力学的直径は150~190 nmであった。流体力学的直径は、温度上昇と共に減少し、33 ℃以上では65 nm程度となる一方、降温過程では増加するものの、27 ℃以下において昇温時よりも10~20 nm小さい値を示した。これらの結果および前年度までに得られた知見から、PTCDI-PNIPAMは、PTCDI部分がスタッキングにより会合したミセル単位が複数個集まった球状会合体を形成することが示唆された。この会合体は、昇温に伴いPNIPAM鎖の収縮によりその粒径が減少する一方、会合体同士がさらに凝集することはない。また、いったん昇温によりPTCDI部分のスタッキングが強くなると、降温過程でそれらが昇温時と同程度に解離することはなく、粒径・濁度・蛍光スペクトルにおいてヒステリシスが観測されると考えられた。 有機溶媒中の希薄溶液からガラス基板上にキャストした乾燥試料を用いて単一分子分光を行ったところ、単一鎖中のPTCDI由来と思われる蛍光を観測することができた。しかし、その試料に温水を滴下したところ、輝点が不明瞭となり、蛍光が観測できなかった。これは、水温が曇点以上であっても、分子鎖が基板から剥離してしまった、もしくは、何らかの原因で消光が起こりやすくなったためと考えられる。
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