2012 Fiscal Year Research-status Report
空中駆動可能なナノカーボン・高分子アクチュエータの開発と応答メカニズム解明
Project/Area Number |
24550264
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
寺澤 直弘 独立行政法人産業技術総合研究所, 健康工学研究部門, 主任研究員 (10357543)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 高分子アクチュエータ |
Research Abstract |
これまでの単層カーボンナノチューブ(SWCNT)アクチュエータ素子より、価格、汎用性の観点から有利であるが、性能面ではるかに劣っている多層カーボンナノチューブ(MWCNT)またはカーボンブラック(CB)/イオン液体(IL)/ベースポリマー(BP)ゲルアクチュエータの高機能化のために、電池の特長を電気化学デバイスである、アクチュエータに適用し、IL、BP、キャパシター機能や応答性能を向上させる金属酸化物(ルテニウム(Ru)等)及び手法(ナノカーボンの酸処理等)に注目し、応答速度に優れ、大きな曲げや発生力を示す等の、SWCNTをはるかに凌ぐ、優れたアクチュエータ素子を開発した。 具体的には、 MWCNTあるいはCBのみのキャパシタンスはSWCNTより小さいが、金属酸化物の添加やナノカーボン酸処理することにより、SWCNTをはるかに凌ぐアクチュエータを開発に必要なキャパシタンスが得られた。その結果、MWCNT or CB:IL: ポリマー(PVdF(HFP))系において、キャパシター機能や応答性能を向上させる金属酸化物(ルテニウム(Ru)マンガン(Mn))を用いて、高速応答、大きな曲げや発生力を示す等の、SWCNTを凌ぐ優れたアクチュエータ素子を開発し、また、酸処理したMWCNTを用い、製膜性や応答速度に優れ、大きな曲げや発生力を示す等の、SWCNTをはるかに凌ぐアクチュエータ素子を開発した。 これらの結果、論文発表7報、口頭発表(国際)2回、口頭発表(国内)1回の成果が得られた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MMWCNT or CB:IL: ポリマー(PVdF(HFP))系において、キャパシター機能や応答性能を向上させる金属酸化物(ルテニウム(Ru)マンガン(Mn))を用いて、高速応答、大きな曲げや発生力を示す等の、SWCNTを凌ぐ優れたアクチュエータを開発し、素子のMWCNT or CB:IL: PVdF(HFP) 金属酸化物の適切な組成比を示せた。また、酸処理したMWCNTを用い、製膜性や応答速度に優れ、大きな曲げや発生力を示す等の、SWCNTをはるかに凌ぐアクチュエータを開発し、MWCNT:IL:BPの適切な組成比を示せた。 さらに、我々のグループで開発した等価回路解析が上記金属酸化物系に適用できることがわかった。 上記の結果、平成24年度計画はほぼ達成でき、また論文発表7報、口頭発表(国際)2回、口頭発表(国内)1回の成果が得られた。
|
Strategy for Future Research Activity |
あ)平成24年度に得られた結果を基にして、さらにキャパシター機能や応答性能を向上させる金属酸化物を探索し、応答メカニズムを解明して、アクチュエータ素子の高機能化の方針を示す。 い)これまでに開発した、MWCNT or CB/IL/BPゲルアクチュエータの高機能化のために、キャパシター機能や応答性能を向上させる手法(ナノカーボンの酸処理、メソポーラス等)に注目し、大きな曲げや発生力を示す等の、優れた素子を開発する。 う)SWCNTでは、電池の特長を生かした、アルカリ金属イオン(Li)やアルカリ土類金属(Mg, Ca)含有のアクチュエータはILのみより、高速応答し、またより大きいキャパシタンスを示し、より大きい伸縮率を示すアクチュエータ性能を示したことから、MWCNT or CB/IL/BPゲルアクチュエータへ適用を試みる。 え)BP-ILゲル、アクチュエータ素子のインピーダンス測定・解析等を行うことにより素子の等価回路を推測し、電解質及び電極層中のイオン移動について検討する。さらに我々のグループで開発した等価回路解析とBP-ILゲルアクチュエータ素子のキャパシタンス測定結果を併せて考慮することにより、電解質層及び電極層中におけるイオン移動の速さを評価し、応答メカニズムを解明して、アクチュエータ素子の高機能化の方針を示す。 お)上記の結果より、BP-ILゲル及びアクチュエータ素子を総合的に検討し、タッチパネルや人工筋肉材料等のアクチュエータに適用可能な、応答速度に優れ、大きな曲げや発生力を示す、SWCNTをはるかに凌ぐ性能を持つ、アクチュエータ素子を開発する設計指針を示す。 以上の得られた結果をとりまとめ、学会、国際会議、論文等で成果発表を行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度未使用分は成果が出ているので、旅費に使用する。また、本年度分は予定どおり、アクチュエータ素子作製のための、消耗品(薬品、実験器具)及び成果発表用の旅費に使用する。
|
Research Products
(10 results)