2014 Fiscal Year Annual Research Report
電界成長を用いた自己組織化による高輝度ナノカーボン電子源の作製と評価
Project/Area Number |
24560024
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中原 仁 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20293649)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 電界放出電子源 / 電子顕微鏡 / ナノカーボン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の当初の研究目的は、電界放出誘起成長(Field Emission Induced Growth: FEIG)による自己組織的な手法を用い、既存の電界放出電子顕微鏡等で使用されている単結晶タングステン電子源から置換可能な高輝度電子源を開発することであった。 この目標を達成するために、初年度には既存の電界放出顕微鏡を成長ガス(メタン)導入可能に改良し、また試作したFEIG電子源を市販の電界放出走査電子顕微鏡(FE-SEM)に搭載して、その動作検証を行った。その結果、高輝度電子源として期待されているカーボンナノチューブ(CNT)電子源と比較して、軸調整がはるかに容易であり、且つ、高コントラストで低ノイズのSEM像が得られることを明らかにした。 平成25年度には、成長中の電子源の電流-電圧特性の測定を行い、FEIG電子源の電子放出面積がタングステン電子源の数百分の1、且つ、CNT電子源の10分の1以下の電界増強因子を持つことを明らかにした。これは、FEIG電子源が高輝度電子源として極めて有望であることを示している。 本研究計画の最終年度である平成26年度には、成長した電子源の組成や構造を調べし、また、輝度計算を行うことで、実際に高輝度電子源が実現できているかどうかの評価を行った。成長した電子源を透過電子顕微鏡で観察したところ、ベースとなるタングステンの上にアモルファス状の下地(アモルファスカーボンと思われる)が成長し、その上に乱れたグラファイト構造の層、そしてグラファイト層の一部が直径数nmのカプセル状カーボン構造を形成しており、このカーボンナノカプセルの突起がが電子源となっていることを見いだした。また、電界分布と電子軌道計算を用いたシミュレーションから、成長したFEIG電子源の輝度は、通常のタングステン電子源の100倍程度の輝度を有することが明らかとなった。
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