2012 Fiscal Year Research-status Report
偏極イオン散乱におけるスピン軌道相互作用の解明と、最表面スピン分析への応用
Project/Area Number |
24560036
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
鈴木 拓 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 研究員 (60354354)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | スピン / 表面 / 原子衝突 / スピン軌道相互作用 |
Research Abstract |
H24年度は、本研究の最終目標であるイオン散乱におけるスピン軌道相互作用の解明に必要な要素技術である超高真空中で試料の極低温冷却が可能なマニピュレータの開発を進めた。試作機は、全体としては、4K GM冷凍機、電子衝撃加熱機構、3軸並進・1軸回転機構を組み合わせ、超高真空中で試料の交換が可能な構造となっている。この試作機の冷却運転試験を行った。この結果から、超高真空中で5K~1200K以上の連続的な試料温度制御が達成されたことが示された。また、試料ホルダーに設置した鉛多結晶板の表面で4端子計測を行い、最低到達温度から3K程度上昇させたところで、転移温度7.2 Kの超伝導転移を観測した。したがって、試料表面においても5K程度の極低温が達成されていることが確認された。このように、スピン軌道相互作用の解明に必要な性能を有する超高真空極低温試料マニピュレータの開発に成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、偏極イオンの発生に必要な放電管等を試作し、偏極イオンビームの発生を達成した。また、低温試料マニピュレータ機構についても、順調に試作が進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、偏極イオン-原子衝突実験における散乱分光計測から、イオン散乱におけるスピン軌道相互作用の解明を進める。具体的には、静電アナライザ用電源や、衝突実験用超高真空チャンバ等を試作し、系統的な衝突実験を進め、標的元素に固有のL・Sポテンシャルを決定する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
衝突実験用の超高真空チャンバや、真空関連の消耗品等の購入に、主に充当する。
|
Research Products
(8 results)