2012 Fiscal Year Research-status Report
ディスクEMSシステムによる低粘性スペクトロスコピー法の開発
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24560064
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
細田 真妃子 東京電機大学, 理工学部, 講師 (40366406)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 粘性 |
Research Abstract |
本研究は、最近申請者らが開発したディスクEMS(Electro-Magnetically Spinning)粘性測定装置について、特に希薄水溶液程度の低粘性測定における高性能化を実現し、汎用のレオロジー計測手法として確立することを目的とする。これにより従来はレオロジー計測の対象範囲外であった10mPa・s以下の粘性領域における流体の力学物性計測の標準を提供する。さらにこれを用いて、たんぱく質や脂質・高分子などの溶液中での一分子状態を調べる新たな研究手法である「低粘性スペクトロスコピー法」の展開を図る。 本年度は、本システムの測定精度をさらに一桁向上させて0.1%とすることに目標とし、このために試料厚みの精密制御技術を開発した。本システムは回転磁場に伴う電磁力により、試料内部に設置した回転子を遠隔操作する。回転子が液体試料上部に浮上して設置されるのがこのシステムの特徴であり、このためずり速度を直接決定する試料厚みの変化に対して、測定される粘性を補正する技術が必要となる。研究では、磁石の配置、回転子形状などを考慮し、試料厚み変化に対してトルクが変化しない不感領域を可能な限り広く確保できる幾何学配置を決定した。結果としてこの領域を100μm確保することが可能となったため、レーザー測距計による10μm分解能での回転子高さのモニタリングにより目的の精度が実現できた。 また温度の精密制御を実現した。純水においては粘性は温度1℃の上昇により約2%減少する。よって0.1%の精度の実現のためには1/20℃以上の精度での温度制御が要求される。これを実現するためにペルチェ素子駆動の温度制御機構を導入した。これにより時間にして数分のオーダーで温度が均一で安定化した状態を実現することが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の当初において立案された実施計画に沿ってほぼ順調に研究が遂行されている。とくに試料厚みのモニタリングに関しては、当初のアイデアである粘性計測への「不感領域」を厚み100μmで設定することができたため装置の操作性が著しく向上し、実験作業の簡易化を図ることができた。また温度制御に関しては、迅速性よりも安定性を重視することとし、断熱壁で覆われた恒温槽を設置することで、0.05℃以上の温度精度が実現できている。これは当初の目標を十分に達成するものであり、今後は液晶相転移点近傍の粘性変化の精密測定など、多様な測定に応用が期待できる。以上の通り本研究は実施計画に基づいて順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通りの粘性測定精度が実現できることが明らかとなったので、今後は実施計画に基づいて粘性測定のさらなる利便性を図るための自動計測化を行い、併せて各種複雑流体系における粘性スペクトロスコピーからの物性研究を開始する予定である。 最初に取り扱う系としては、粘性測定による同定が有効で有りかつ産業応用上もその成果が期待できる界面活性剤の曇点および臨界ミセル濃度(以下CMC)の決定を目指す。CMCは界面活性剤分子が会合してミセル形成を始める濃度であり、また曇点は温度上昇に伴って界面活性剤水溶液が相分離を始める濃度である。本システムではこれら分子会合体の生成濃度を、相対粘度の増加という力学物性の変化として検出できる。これまでの研究によれば例えば曇点での粘性増加は数%~10%の程度であり、十分に装置の検出限界内である。これらは装置の感度・検出能力をアピールする格好の研究対象であり、デモンストレーションを兼ねて各種界面活性剤の粘性の濃度依存性を詳細に測定し、これを光散乱などによるデータと比較する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
粘性測定の自動化を図るために、回転子の運動状態を観察して記録するビデオカメラ、あるいは動画ファイルから回転数をリアルタイムでモニタリングするためのコンピュータなどの機器を購入する。その他、界面活性剤試料および溶液の環境を制御するための各種試料試薬、試料温度をモニタリングするための電子部品などに充てる予定である。またこれまでの成果を学会において発表するための旅費にも予算を講じている。
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