2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24560133
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
關谷 克彦 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80226662)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 切削加工 / 凝着 / 構成刃先 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,凝着による切削仕上げ面劣化メカニズムおよび工具寿命劣化メカニズムを明らかにすることを目的としている.仕上げ面断面曲線に着目し,この形状と工具幾何形状を比較することにより凝着物の規模と安定性を評価する,これまでの年度で開発した手法を用いて,オーステナイト系ステンレス鋼の断続旋削を行い凝着物の安定性について検討を行った. 切削抵抗の衝撃的な作用による凝着物の脱落については,工具上へ付着した切りくずが被削材への工具再突入時に工具から脱落することがビデオ撮影による動画観察の結果明らかとなり,切削抵抗の測定から,切りくずが付着していた時の方が衝撃力が緩和されており,衝撃力よりも切りくずの自由面と被削材の干渉が切りくずの脱落に影響を与えていることが新たに判明した.このため,当初予定していた切削厚さの変化と凝着物の安定性についての検討は行わなかった. 工具刃先処理の影響については,従来からの知見の通りチャンファによって安定したやや大きい凝着物が得られ,刃先が鋭利になると小さい凝着物となることが判明した. 工具表面材質の影響を調査するため,工具メーカが推奨するコーティング工具を用いて,これまでの本研究で用いていたサーメット工具と比較した結果,切削終了時に工具上に残留している凝着物は目視で判断できる程度の広範囲に残留した. 断続旋削時の切りくずの末端(被削材から工具が離脱する側)には切削中に生成していた凝着物が付着していることが観察され,工具と接触する側の表面には工具の表面粗さが転写されていることが新たに判明した.コーティング工具を用いた実験で,付着していた凝着物を酸で溶解除去したところ,工具表面の粗さは変化していなかったため,いずれの場合も凝着物と工具表面の界面では滑りは生じておらず,凝着物は工具すくい面上に安定してとどまり,その上を切りくずが擦過していることが新たに判明した.
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