2013 Fiscal Year Research-status Report
摩擦面温度制御によるPEEK樹脂軸受の焼付き防止システムの開発
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24560172
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Research Institution | Hachinohe National College of Technology |
Principal Investigator |
赤垣 友治 八戸工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (20149909)
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Keywords | トライボロジー / PEEK樹脂軸受 / 焼付き / 摩擦面温度 / エアジェット冷却 |
Research Abstract |
油潤滑・高速すべり条件下におけるPEEK複合材料ブロックと鍛鋼リング(SF540A)の焼付き挙動に及ぼす低温エアジェットによる強制冷却の影響を調べた.実験時,摩擦トルクの測定及びリング表面下1mmの位置でリング温度を連続的に測定し,焼付きへの進行過程をモニターした.また,潤滑油中の摩耗粒子数を連続的に測定し,焼付きへの進行過程をモニターした.いかなる条件下でも,リング温度が約100℃以内で一定になる場合には,安定した流体潤滑を維持し,100℃を超えて漸増する場合には焼付きに遷移した.本年度は,冷却面であるリング側面に同心円状の冷却溝(0~2本)を加工し,エアジェット冷却効果を更に向上させて実験を行い,比較検討を行った.実験条件は,エアジェット空気流量約50~300L/min,コンプレッサー圧力0.3~0.6MPa,冷風率100,75,50,25%である.その結果,以下の知見を得た. 1.リング試験片側面に溝加工を施すことで,溝加工のない場合に比較して摩擦係数や摩擦面温度を低下させることが可能であった.エアジェット冷却を併用した場合,1つのリング溝(幅60mm,深さ10mm)を有する試験片が最も冷却効果が高いことがわかった.併用しない場合,2本溝が最も効果的であった. 2.エアジェット冷却における冷風率(冷風率=冷却空気量/圧縮機空気量)の影響が大きく,50%が最も冷却効果が高く,摩擦面温度を低下させ焼付きへの進行を抑えることが可能であった. 3.混合潤滑から焼付きへの遷移過程でエアジェット冷却を施すと摩擦面温度を低下させ焼付きを回避することが可能であった.しかしながら,実験条件が過酷で発熱量が高い時には,回避できない場合があり,今後冷風率と発熱量の関係等を明らかにすることが必要である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度実施予定の実験を行い,PEEK複合材料の焼付き挙動の解明とエアジェット冷却システムの構築及び冷却実験を行った.今年度は冷却面へのリング溝加工を施すことで更に冷却効果を高めることができた.また,実際に,混合潤滑から焼付きへの遷移過程でエアジェット冷却を施すと摩擦面温度を低下させ焼付きを回避することが可能であった. しかしながら,実験条件が過酷で発熱量が非常に高い時には,摩擦面温度を低下させることができずに焼付くことがあった.今後冷風率(冷風流量),冷風温度と摩擦発熱量の関係等,エアジェット冷却の限界を明らかにすることが必要である.
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Strategy for Future Research Activity |
平成24,25年度の結果を基に,低温エアジェット冷却法を用いた摩擦面温度制御システムを構築するために,低温エアジェット冷却法に加えて冷却溝加工による冷却効果の相乗効果を目指して実験を進める予定である.また,実証実験を行う予定である.具体的には以下に示すように実験を進める. 1.低温エアジェット冷却法+冷却溝加工冷却法の最適条件及び冷却限界の検討:最適な冷却効果を得るための冷却溝の形状とエアジェット冷却条件を検討する. 2.流体潤滑,混合潤滑,境界潤滑,焼付きの遷移過程における焼付き回避の実証実験:各々の潤滑モードで強制冷却を行い,焼付き回避が可能な条件の検討を行い,本手法の適用範囲を明らかにする.
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