2012 Fiscal Year Research-status Report
超音波振動による十字型振動体の共振を利用した六角ナットの高精度締付法の開発
Project/Area Number |
24560176
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Nagano National College of Technology |
Principal Investigator |
岡田 学 長野工業高等専門学校, 機械工学科, 准教授 (70249788)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | ねじ締結 / 超音波振動 / 共振 / 摩擦 |
Research Abstract |
2個の超音波振動子(BLT)を取り付けて振動を合成することによってナットをねじ軸方向に強力に加振することができる十字型振動体を製作し、それを利用してナットを加振しながら締付を行うレンチを開発した。振動体の設計にあたっては有限要素法によって振動の解析を行い、振動体の形状と寸法を検討した。製作した振動体にBLTを取り付けて加振しながらレーザー変位計で振動の変位を測定し、概ね予想通りに振動していることを確認した。 また、2つのBLTで同位相の超音波振動を発生させるための基準信号の分配と増幅器で構成される駆動部分も開発した。できるだけ強力に加振するため、振動子は高出力型(最大許容入力電力450W)を使用したため、増幅器もそれに合わせて大容量とした。 開発したレンチを使用してナットに超音波振動を与えながら、締結を行った。その結果、ボルト軸方向の超音波振動を付加すると、超音波振動を付加しなかった場合に比べてナット座面の摩擦トルクは減少するが、ねじ部の摩擦トルクは増加し、全体としては摩擦トルクは増加することがわかった。また、超音波振動を加えた場合と加えない場合について、締付トルクと軸力の関係を調べたところ、同じ締付トルクに対して超音波振動を加えた場合の方が超音波振動を加えなかった場合よりも軸力がやや小さくなったことからも、全体として摩擦トルクが増加していることがわかった。 ボルト軸方向振動に加えて捩り振動をナットに与えながら締結を行うため、2つの振動子が取り付けられる腕に食い違い量がある十字型振動体も開発した。振動子が取り付けられる腕に食い違い量がある十字型振動体を使った場合の方が、食い違い量が無い十字型振動体を使った場合よりも、ボルト軸力のばらつきを低減できるという実験結果が得られており、これについては平成25年度も継続して研究を行っていく。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、装置の設計及び製作を行い、それを使用した締結実験を行った。 当初の計画に追加して、ボルト軸方向振動に加えて捩り振動をナットに与えながら締結を行うため、2つの振動子が取り付けられる腕に食い違い量がある十字型振動体も開発した。これによって、振動子が取り付けられる腕に食い違い量がある十字型振動体を使った場合の方が、食い違い量が無い十字型振動体を使った場合よりも、ボルト軸力のばらつきを低減できるという実験結果が得られた。 その一方で、当初は超音波振動の摩擦低減効果によって接触面の摩擦トルクが低減されると予想したが、実験の結果、摩擦トルクは逆にやや増加しており、これについても現象を解明する必要が生じた。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、超音波振動子が4個以上の場合について装置を製作して、軸力のばらつき低減効果について調べていく。今年度に得られた結果では、当初は超音波振動の摩擦低減効果によって減少すると予想していた摩擦トルクが、逆に増加しているため、その現象解明を試みる。ただし、本研究の目的は「ばらつきが少ない高精度なねじの締付け管理の実現」であり、最終的には摩擦低減にはこだわらない。 当初の計画に加えて、ボルト軸方向振動に加えて捩り振動をナットに与えながら締結を行うために2つの振動子が取り付けられる腕に食い違い量がある十字型振動体も、振動子を4個取り付けたものを製作し、その効果について調べる。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし。
|
Research Products
(4 results)
-
-
[Presentation] Screw Tightening Methods with Ultrasonic Vibration2013
Author(s)
Manabu OKADA, Tomonari TSUCHIDA Satoshi NAKATSUKA, Yukihiro OTANI and Kouhei KUWABARA
Organizer
5th International Conference on Manufacturing, Machine Design and Tribology (ICMDT 2013)
Place of Presentation
Pusan National University, Korea
Year and Date
20130522-20130525
-
-