2013 Fiscal Year Research-status Report
多孔質動圧スラスト・ラジアル複合軸受における非定常時軸心挙動の実験的解明
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24560177
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Research Institution | Yonago National College of Technology |
Principal Investigator |
大塚 茂 米子工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (80300606)
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Keywords | 機械要素 / 多孔質軸受 |
Research Abstract |
「H25年度研究実施計画の達成状況」:1.ピボット支持方式、ならびに複合軸受方式における軸受内径クリアランスをパラメータとした非定常時軸心挙動の解明およびクリアランスの最適化検討:昨年度と同様な測定を軸受直径クリアランスCをパラメータとして実施した。ここでCは、従来文献を参考に軸径dの0.2%程度(C/d=0.2%)を基準とし、複数のクリアランスを設定し測定を行いその最適値を検討した。2. ピボット支持方式における回転数(dN)/起動時間(dT)をパラメータとした非定常時軸心挙動の解明検討:dN/dT設定値をパラメータとし、上記実験で採用した複数のクリアランスにて、ピボット支持方式における同様な測定を実施した。規定値:dN/dT=250rpm/sec.に対し、dN/dTを±50程度に上下に振って測定を実施した。これにより、軸心収束時間や軸振れ特性、あるいは軸心挙動に対するdN/dT変化の影響の度合いを検証した。以上の実験結果より以下の点が明らかになった。 1)総じて収束時間の短縮には端面動圧に起因する復元モーメントが付与される複合軸受支持化が有効であり、軸振れ量低減にはC/dを0.1%程度へ縮小し、油膜剛性と軸受内周面動圧に起因する復元モーメントを高める方がより効果的な手段である。 2)全ての仕様においてC/dを0.1%程度とすることで、軸起動時における軸心収束時間の短縮、ならびに軸振れ量Φwの低減に著しく効果的である。特にSLV においてはC/dを0.1%程度とし、さらにスラスト動圧形状との複合軸受支持化することで 軸振れ量Φwが低減され、軸振れ挙動の安定化が大幅に促進される。 3)dN/dTの増加に伴い軸心の早期収束がなされる。さらに、動圧形状仕様(HBI,HBII,TLT)においては、軸振れ量Φwの抑制もなされるため省エネルギー化、高精度化につながる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
H25年度の研究実施計画は、上記のように順調にしかも前倒しで推進されており、既に以下のような研究業績が発表・公開されている。 1.「多孔質動圧スラスト・ラジアル複合軸受における非定常時潤滑特性の実験的検討(ピボット支持タイプにおいて回転数勾配の変化が軸心振れ挙動へ及ぼす影響について)」、圓岡成央、大塚茂、他、(社)日本機械学会中国四国学生会第42回学生員卒業研究発表講演会、広島大学、Vol.42th.(DVD-ROM) Page.515(2012-3) 2.「多孔質真円ジャーナル軸受の非定常時潤滑特性の実験的検討(クリアランス変化をパラメータとする軸振れ抑制効果についての一考察)」、山崎翠、大塚茂、他、(社)日本機械学会中国四国学生会第42回学生員卒業研究発表講演会、広島大学、Vol.42th.DVD-ROM)Page.514(2012-3) 3.「超音波による多孔質焼結含油軸受の油膜厚さ測定(油膜厚さの直交2軸方向測定)」、中川拓実、矢壁正樹、大塚茂、(社)日本機械学会中国四国学生会第43回学生員卒業研究発表講演会、高知工科大、Vol.43th. (DVD-ROM) Page.504(2013-3) 4.「多孔質動圧スラスト・ラジアル複合軸受における非定常時潤滑特性の実験的検討(ピボット支持における回転数勾配及びクリアランス変化をパラメータとした軸心挙動の検討)」、圓岡成央、大塚茂、他、(社)日本機械学会中国四国学生会第43回学生員卒業研究発表講演会、高知工科大、Vol.43th (DVD-ROM) Page.414(2013-3)
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Strategy for Future Research Activity |
「H26年度の実施計画」 1.ピボット支持方式における回転数(dN)/起動時間(dT)をパラメータとした非定常時軸心挙動の解明、および周波数分析による軸振れ影響因子の特定検討:開発したエア供給・制御装置のdN/dT設定値をパラメータとし、H25の実験で採用した複数のクリアランスにて、ピボット支持方式における同様な測定を実施する。これまでの規定値:dN/dT=250rpm/sec.は、起動時における軸心挙動の詳細な検討を行うために実機における時間軸の値の約50倍程度に拡大し設定したが、ここでは規定値に対しdN/dTを±50程度に上下に振って測定を実施する。これにより、軸心収束時間や軸振れ特性、あるいは軸心挙動に対するdN/dT変化の影響の度合いを検証する。さらに測定された軸振れ振幅時刻歴データを用い、F.F.T.による軸振れ振幅の周波数分析を実施することで、軸振れ特性に影響を及ぼす回転成分の影響因子の特定を試みていく。 2.ピボット支持方式における加振状態での非定常時軸心挙動の解明、および動圧形状適正化検討:ピボット支持方式において起動時などの非定常状態に加え、さらに加振を与えながら上記複数のクリアランスによる同様な測定を実施する。この実験により、今後のモバイル化に好適な動圧形状の仕様を検討して行きたい。ここで加振を加えながらの実験には制御装置を含む振動発生装置が必要であり、これを企業からの期間限定貸し出しなどを利用して導入することを試みる。この導入に成功することで、まずは簡単に手振れを想定した一定周波数(数Hz程度)の低周波Sin波加振状態にて、上記測定を実施して行く。
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Research Products
(5 results)