2013 Fiscal Year Research-status Report
アルカリ溶解性会合高分子溶液中における特異な気泡・液滴ダイナミクスの解明
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24560180
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
太田 光浩 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (00281866)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩田 修一 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00293738)
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Keywords | 液滴上昇 / 気泡上昇 / 弾性特性 / 気泡形状 |
Research Abstract |
NaOHによりpH=7に調整したアルカリ溶解性会合高分子(HASE)溶液を用いて,液滴系の実験を行った.液滴としてシリコンオイルを用い,気泡系の場合と同様に小さい液滴から大きな液滴までの運動を調べた.無次元物理パラメータの点からは,溶液物性値に対応するMorton数を調整し,広範囲のEotvos数で実験を行い,液滴形状とReynolds数の関係を整理することになる.高解像の高速度ビデオ・カメラにより様々な物理条件下での液滴運動を調べた.液滴の場合,気泡で見られた特異な粘弾特性の発現は大液滴の時に僅かに見られただけで,ほとんど観察されなかった.すなわち,ニュートン流体系での運動と相違がなかった.これは,HASEの粘弾性特性が比較的高剪断域で出現するため,周囲流体と液滴の密度差が小さい液々系では,液滴周りで大きな剪断場が形成されなかったことに起因すると予想できる.液滴系では予想に反して特異な現象は観察されず,粘弾性特性は高剪断域でのみ発現することを確認できた.気泡系に対しては,ユニーク形状に焦点をあてて,より精密に詳細に気泡運動を観察した.特異な形状部をより拡大して観察したところ,ユニーク形状部にマイクロスケールレベルでFishbone型をした特異な形状を形成していることを発見した.これは従来に観察された構造とは異なっており,これまでの観察してきたマクロ形状は,マイクロスケールレベルでの特異形状を有して構成される系があることが分かった.ただし,全ての条件でこれらのFishbone型構造が出現する訳ではなく,この不思議な現象の発生条件,構造に焦点を当てた実験を行い,さらに詳細に検討する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の達成度としては,概ね予定通りであった.液滴運動は予想した結果よりも特徴的な運動とはならなかったが,気泡系に対して,これまでの結果よりさらに特徴的な現象が存在することを発見した.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通りに,HASE溶液中を気泡関する研究を中心に行う.特にH25年度に新たに発見したマイクロスケールレベルでの特異形状の構造や物理条件に焦点を当てた実験を行う.これらを基に,特異な弾性効果を発現する原因を考察する.他の実験系として,空気中にHASE液滴を落下させる実験を行い,HASE溶液が持つ伸長性についても考察する. 平成25年度に得られた成果を 国際会議(1件)と国内学会(1件)にて発表する.
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Research Products
(3 results)