2014 Fiscal Year Annual Research Report
フラクタル構造体によって発生する乱流の減衰およびエネルギー移動機構の実験的解明
Project/Area Number |
24560190
|
Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
牛島 達夫 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50314076)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 博貴 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10626873)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 乱流 / フラクタル / 熱線流速計 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的を達成するために,速度勾配全成分測定用8線式熱線プローブの改良と小型風洞(断面13cm×13cm,全長3m)でのフラクタル構造体を通過して生成される乱流の減衰特性の調査を継続して行った. 乱流の非線形エネルギー輸送を調べるために,昨年8線式熱線プローブを考案作成したが,流れ方向の渦度成分の測定性能が不十分であることが判明した.そこで,プローブの改良を行った.プローブは周囲に張った4つI型熱線を,傾斜熱線に設計変更した.実験により傾斜熱線のピッチ角ロール角に対する熱線出力の関係とその近似式を得た.更に,プローブのそれぞれの熱線の位置関係と速度勾配を考慮し,熱線出力電圧から速度および速度勾配を同一の式に組み込んで算出する方法を考案した.円柱後流測定で考案した方法の有効性を確かめた.残念ながら新プローブの設計改良に多くの時間を費やしたため,フラクタル構造物後流での測定を予定した研究期間内で実施することができなかった. 小型風洞では,フラクタル構造体によって生成された乱流の減衰について,流れ方向成分の乱れについてのみ測定し,標準正方格子の測定結果と比較しながら考察を行った.本研究で用いたシェルピンスキー四面体を通過して生成した乱流では,四面体の形状に起因する後流速度分布の発達によって,乱流がべき乗則に従って減衰する領域と,最下流でべき乗則に従って減衰する領域と,両者を繋ぐ遷移領域からなることがわかった.遷移領域ではほぼ指数法則に従って減衰することが観測された.これらの減衰変化は,フラクタル構造の多重性を示す繰り返し段数を変更しても,最小要素の大きさと構造全体の大きさの比のn(0.6<n<0.8)乗でまとめられることがわかった.また,減衰の遷移領域では,流れ垂直方向の乱流拡散が減衰過程に大きく寄与していることがわかった. 以上,当初の計画は一部を除きほぼ達成された.
|