2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24560207
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
佐藤 光太郎 工学院大学, 公私立大学の部局等, 教授 (80252625)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横田 和彦 青山学院大学, 理工学部, 教授 (70260635)
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Keywords | シンセティックジェット / コアンダ効果 / 推力 |
Research Abstract |
本年度も昨年度に引き続きシンセティックジェットの基本流動特性の解明を行いつつ,推進器への応用に向けた流動特性について検討を行った.連続噴流の代替とするシンセティックジェットの基本流動特性に関する実験並びに数値シミュレーションを実行し,まずコアンダ効果に着目して剛体壁近傍におけるシンセティックジェットの挙動について議論した. 本年度はピストン方式の新たな実験装置を製作し,流れの可視化を行った.壁面近傍のシンセティックジェットでは渦対の対称性が崩れ,噴流が蛇行すること,フローパターンはスロット-壁面間距離とストロークとの相対距離で決定されることなどが昨年度の数値計算で示唆されたが,従来のスモークワイヤ法による流れの可視化実験では,数値計算と実験との定量的な比較が困難であった.本年度は作動流体を空気から水に変更してアルミ粒子浮遊法による可視化実験装置を製作し,液体自由表面の様子を観察することにより,任意の時間における渦対の位置情報が数値計算結果と定量的に比較可能となった.また,より厳密に実験結果と比較するため壁面近傍のシンセティックジェットの挙動に関する三次元計算も行った.実験結果と数値計算結果は概ね良好な一致を示しており,シンセティックジェットで生じる渦対の運動特性に関して本数値解析方法の妥当性が確認されたと言える. ところで,昨年度は前述のコアンダ効果を利用したカプセル内視鏡を念頭に置いた噴出・吸入口分離型推進器を提案し,第一段階として性能曲線を求めたが,本年度はさらに流路断面での計測を試み測定精度の向上を図った.今年度の数値計算ではシンセティックジェット噴出口幾何形状を工夫し,コアンダ効果を利用したことにより推進器中央流路において一方向流れが形成される様子が確認された.推進器中央流路内の時間・空間平均流速並びに時間平均圧力は無次元ストロークに依存することが明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シンセティックジェットによるカプセル型内視鏡の推力生成あるいはマイクロ飛翔体推進のための基礎的研究として,当初から平成25年度は推進器モデルを風洞内に設置した場合の推力特性について重点的に調べる計画であり,概ね実行できた.実験での推力はシンセティックジェット推進器の上流と下流において速度分布並びに圧力計測を行い,定常の運動量方程式を用いて評価した.数値計算では非定常運動量方程式から求めた時間平均推力とシンセティックジェット推進器表面の圧力分布・せん断応力から求めた時間平均推力と比較し,本計算による推力評価方法の妥当性を確認した.その上で,シンセティックジェット推進の実用化では大きな課題となるであろう推力の時間的変化について継続して調べるとともに推力への慣性項,運動量項,圧力項の寄与についても議論した.ただし,実験では今年度も非定常推力を求めることはできなかった.一方,これまで実験に用いるシンセティックジェット・アクチュエータはスピーカーのみであったが,今年度はピストン式のアクチュエータの導入に成功し,コアンダ効果の実験的検証に適用した.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き計画通り系統的にシンセティックジェットの推進特性について実験・数値計算を行う予定であるが,今後は推進器の最適形状に関する議論に軸足を移行する予定である.すなわち,推力生成に及ぼすシンセティックジェットの振動特性の影響についても解明を進めながら幾何形状の影響についても議論を展開する予定である.具体的には推力特性に及ぼすシンセティックジェットのスロット位置,噴出角度,流路幅,流路形状(拡大率・縮小率)などの影響について,数値解析を用いて解明を試み,典型的条件については比較のための実験を行う.ところで,流路断面での速度分布を運動量方程式に代入し,推力評価するのには時間を要することから推進器ではなく送風機として性能特性を調べることも考える.
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