2013 Fiscal Year Research-status Report
シンクロアクチュエーションによる高感度時間分解燃焼過渡成分検出法の開発
Project/Area Number |
24560226
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
手崎 衆 富山大学, 理工学研究部, 教授 (50236965)
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Keywords | 圧縮着火 / 中間生成物 / 成分分析 / 反応機構 |
Research Abstract |
25年度は、改造サンプリング機構の製作調整と並行して既存装置での圧縮着火反応のデータ取得と解析作業を行った。 予混合圧縮着火時の冷炎-熱炎二段階着火過程における冷炎での反応進行度と冷炎-熱炎間に存在する中間生成物の測定結果が得られている。燃料系としてPRF、すなわちノルマルヘプタン/イソオクタン混合燃料と、NTFと称するノルマルヘプタン/トルエン混合燃料との二種類を用い、それぞれの混合比と空気比を変えて冷炎燃料消費と生成物収率の関係を調べた。高オクタン成分であるイソオクタン又はトルエンの率を高めることで冷炎熱発生量の低下、元燃料消費率の低下がみられるが、PRFでは混合率の全域で連続的な変化であるのに対し、NTFではトルエン率が60%までは変化が緩いが、60%から急速に変化して80%で反応性を失う。全ての燃料系に共通してホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、蟻酸、メタノール、エチレンが検出され、PRFにおいてイソオクタン由来の中間生成物としてイソブテンが、NTFではトルエン由来のものとしてベンズアルデヒドが検出された。 約700Kで始まる低温酸化反応による燃料消費と発熱が縮退、すなわち一時停止する機構として、低当量比で温度上昇が小さい条件では燃料減少およびアルデヒドの様な反応抑制生成物の蓄積により縮退に至り、当量比が変化しても燃料消費率が一定であるが、高当量比で到達温度が850Kを越すようになると、負温度特性による縮退となり当量比を増すと燃料消費率は低下する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
高速に開閉する電磁バルブをエンジンヘッドに備え、定常的に排気する差動排気系を通して高真空の分析チャンバーで成分分析を行うサンプリング装置に関して、試作装置は所定の性能に達せず、調整、改造の検討の後再設計・再製作の途上にある。 不良の状況は、初期には部品寸法の不具合によるパルプ開閉不良、後にはバルブ開閉しガス導入による中間真空室の圧力上昇はあるものの高真空室の質量分析器において所定の信号が得られないものであった。この原因は流路設計に不適な部分があるためと判定し、設計からやり直しているものである。 但しこの作業過程で得られた知見によって、既存のサンプリング機構にも改善の余地を見出し、永年の仕様によって消耗が進んだこともあり、こちらもサンプリングヘッドの再製作を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
再設計・再製作した機構を組み立て、試験運転、機構の調整と最適サンプリングの条件設定を行う。差動排気系における各段の真空度について最高検出感度を得る最適化、バルブとシャッターのタイミング調整において実効時間分解能を高める最適化を行う。所定の性能を確認した後、過酸化水素H2O2の高感度検出に注力する。これまでの予備検討から、質量数34の過酸化水素の信号には本来質量数32である酸素分子の同位体成分が同質量で重なることが判っており、この不要信号成分の除去処理が必要である。そのためには質量数34と32の信号を同時に取得し、酸素の両成分の感度係数比を構成しておいて差引処理を行う。これを精度良く行うためには両成分の感度が安定していることが非常に重要であり、そのように装置調整を注意して行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
サンプリング装置の設計・発注まで行ったが納期・支払いが26年度にずれ込んだ。 付随装置部品および本実験の消耗品も装置完成を待って買い控えているため。 サンプリング装置機械工作部品の支払い、消耗品の購入、成果発表のため全額使用の予定。
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