2013 Fiscal Year Research-status Report
浮力による流れの不安定現象の解明とCVD製膜問題への展開
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24560228
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
北村 健三 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20126931)
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Keywords | 強制対流 / 自然対流 / 伝熱 / 流れの不安定 / 流れの可視化 / CVD |
Research Abstract |
平成25年度は、水平型CVD炉を模擬した体系、すなわち水平方向に一様な流速で流れる強制対流空気流中に2次元くさびを、くさびの尖端を流れに向けて設置した体系について、可視化および伝熱実験を試みた。とくにくさび角θを0°から30°の範囲で変化させた場合を中心に検討した。まず、煙を用いて、くさび面上の流れを可視化してみた。その結果、浮力がある程度以上強くなると、上向きくさび面上を流れる煙は、くさび先端からある距離下流側の地点で筋状に集中し、3次元的にはく離する現象が観察された。この可視化結果より、浮力が強く作用すると上向きくさび面上には流れ方向に軸を有する縦渦が発生することが分かった。一方、下向きくさび面上の流れであるが、浮力がある程度以上強くなると、下向きくさび面上を流れる煙がくさび面から膜状にはく離する様子が観察された。また、この煙のはく離位置は浮力の増加につれて、くさび面後端からくさび先端へ移動することを確認した。そこで、これら縦渦およびはく離の発生条件を流れの可視化結果を基に無次元パラメータを用いて整理してみた。その結果、くさびの辺長を代表長さとする修正グラスホフ数Gr*と強制対流主流速を代表速度とするレイノルズ数Reの2.5乗との比、Gr*/Re2.5、があるしきい値を越えると、上述した縦渦およびはく離が発生することが分かった。つぎに、この結果を参考にして、くさび面の局所熱伝達率を測定してみた。その結果、上向きくさび面では、上述した縦渦の発生に伴って熱伝達率が強制対流くさび流れの熱伝達率よりも高くなること、一方、下向きくさび面では、前述した境界層のはく離に伴って、熱伝達率が強制対流くさび流れの熱伝達率よりも低くなることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記の研究成果については、平成26年度中の早い時期に、日本機械学会あるいは日本伝熱学会等の講演会にて口頭発表する予定でいる。また、必要な追加実験を行った上で、査読付き研究論文として、本研究に関連する学術雑誌へ投稿、公表を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、平成25年度に実施した水平方向に一様な流速で流れる空気の強制対流中に等熱流束加熱くさびを設置した体系について、引き続き実験的検討を試みる予定である。実験に用いるくさびは平成25年度と同様、辺長d=50mm、奥行き300mmの2次元くさびであり、とくに平成25年度に実施できなかった、くさび角θの大きな場合(30°<θ<90°)を対象に流れの可視化および伝熱実験を行うことを計画している。また、平成25年度および平成26年度に得られた実験結果を各種の無次元パラメータを用いて整理することにより、くさび面上の流動・伝熱特性を支配するパラメータを明らかにする。さらに、平成26年度は本申請課題の最終年度に当たることから、平成24年度から26年度までに得られた一連の実験結果を整理・考察することにより、実用のCVD炉の運転条件等を考慮した場合の、流れの安定限界について一般的な評価法を提案し、併せて均一な熱CVD製膜を可能とする炉運転条件を明らかにすることにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度には、横置型低速風洞を本研究室で設計・製作したが、当初予定していたよりも材料費や加工費が少なく済ませることができた。また、熱電対出力記録用のマルチチャンネルレコーダやデジタルマルチメータ等の計測器の購入費が、当初見積額よりも値引きされた結果、次年度使用額が生じた。 本年度は、昨年度製作した小型風洞の改修を行う予定であるが、昨年度の状況を踏まえて、より正確な材料費・加工費を見積もり予算執行する予定である。また、計測器等の購入についても、値引きを考慮した予算執行を行う予定である。
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