2012 Fiscal Year Research-status Report
高温面の急速冷却中に形成される安定な固液接触面の拡大開始に関する熱的特性の解明
Project/Area Number |
24560238
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
門出 政則 佐賀大学, 学内共同利用施設等, 教授 (80109222)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 熱工学 / 相変化 / 急速冷却 / 自発核生成 |
Research Abstract |
表面温度測定用の温度センサーを試作し,その測定精度の検証を行った.試作された温度センサーの測定精度は,測定感度0.1 ms程度であること,測定された温度と逆問題解から推定された温度との比較から高温面を急速冷却するときの温度センサーとして十分な精度であることが確認できた. 使用される高温加熱面には温度センサーが直接圧着溶接されている.圧着された温度センサーが高温実験域でも十分な熱耐性を持っていることを予備実験で動作確認した. 温度センサーと高速ビデオカメラ(100万コマ/秒)を同期させた光学計測装置を製作した. 高温面を液噴流で急速冷却した時の固液接触面の開始条件と濡れ面の拡大について検討を進め,急速冷却中に得られた冷却曲線は,固体表面の時間平均温度で加熱面上での固液の特性を正確に表していないことを作成した温度センサーを利用することによって明らかにすることができた.すなわち,高温面の非定常冷却中の温度降下は固液の接触(核沸騰状態)と非接触(膜沸騰状態)を繰り返しながら,緩やかな温度降下をしている.更に,この温度降下がある温度(臨界温度)に到達すると濡れ面が急に拡大し,高温面が急冷に冷却される.このときの表面温度と熱流束の測定が可能となった.ただ,この臨界温度を支配する物理量については今後検討する必要がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
表面温度測定用の温度センサーの製作とその耐熱性を検証し,開発された温度センサーを利用して,非定常冷却中の固液の接触とその時の表面温度と表面熱流束の測定がなされるようになった. 温度測定と光学装置との連携によって,高温面の急速非定常冷却中の濡れ面の拡大の様子を定性的に把握することが可能となった.この結果,固液の接触面の拡大と表面温度や表面熱流束の変化を定量的に検討する準備が整った. 予備的に得られた温度測定結果と研究室で開発された逆問題解析を連携することでより正確な固液接触時の特性を把握することが可能となった. 本測定で得られた固液の接触に関する基本的な成果が,液噴流を用いた高温面の急速冷却特性の検討に利用できる.
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Strategy for Future Research Activity |
高温面に圧着溶接された温度センサーを用いて,固液接触時の表面温度と表面熱流束変化と高速ビデオカメラから得られた高温面上の流動状況とを連成させ,固液接触と非接触を繰り返す状況下での濡れ時間と非濡れ時間の関係と冷却曲線上でそれらの時間がどのように推移しているかを解析する.解析された流動状況と表面温度と熱流束の関係を検討する.さらに,ある温度(臨界温度)を支配する因子について,固体側からの熱流束の変化に注目して検討を進める. 臨界温度という用語を用いて,固液の接触問題を説明した方が,理解し易いため,この表現が広く使用されている.しかし,「高温面上での濡れ面の拡大という現象は,固体側から熱伝導で伝えられた熱と固体表面上で固体と接触している液体あるいは相変化後の蒸気との動力学的な釣り合いから決定されている筈である.」という視点(観察結果)から推察すると,この現象を支配しているのは,温度ではなくて熱流束であるという考え方の方がより自然な発想であろう. このような観点から,固液の接触特性と熱的な関わりを検討する.具体的には,高温面の温度を水で冷却する場合,500 ~700℃,またアルコールで冷却する場合,200 ~ 300℃の範囲で,また液体の速度もできるだけ広い範囲で実験を行なう.そこで測定されたデータを基に,上述の観点から検討進める.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1.実験を遂行するために必要な消耗品を購入するための予備費を計上 2.研究成果を国内の学会で広く公表するため,及び研究調査,打ち合わせのための旅費を計上 3.実験遂行及び実験結果の整理に必要な補助員(大学院学生)を雇用するための費用を計上
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