2012 Fiscal Year Research-status Report
地震時のエレベータ・ロープ揺れリアルタイム解析手法の開発
Project/Area Number |
24560254
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
木村 弘之 富山大学, 大学院理工学研究部(工学), 教授 (50579315)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 耐震・免震設計 / 昇降機 |
Research Abstract |
建物上部および地表面(ピット)に設置された地震感知器の加速度データをもとに、かごが走行する場合のエレベータ・ロープ(コンペンロープ)の揺れをリアルタイムに推定する簡易的な方法について検討した。その結果以下のことが分かった。 (1)メインロープに比べて張力が小さいコンペンロープの振動モードを理論的に求めた。さらに、正弦波加振時の周波数応答を差分法による数値解析によって求めた。これらは、ロープ最大長さでの値である。 (2)建物上部および下部の加速度データをもとに、かごが走行する(ロープ長さが変化する)場合のエレベータ・ロープの応答をロープの張力分布を考慮した(具体的には上記振動モードや刺激係数を考慮した)1自由度モデルを用い簡易的に解析する方法を示した。種々の地震波(16波)と建物(7ケース)の応答を加振源としてコンペンロープの応答解析を行い差分法による解析結果と比較することにより、提案した簡易計算法で3次モードまで考慮すればロープ最大変位を概ね誤差+20%,-30%程度以内で推定できることを示した。 (3)ロープ上端を正弦波加振させながら、ロープ長さを変化できるようなロープ加振モデルを製作した。この加振モデルを用いて、まずロープ長さ一定の条件でのロープの振動特性(加振振動数-ロープ最大変位、ロープ長さ-ロープ最大変位)を測定し、数値解析結果と良く一致することを確認した。なお、実験におけるロープ変位は、ビデオ撮影した画像データをもとに画像処理ソフトを利用して求めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)理論面では、ロープの張力分布を考慮した振動モードや刺激係数を用いて簡易計算を行えば、解析精度が向上することを確認でき、当初計画より大幅に進んでいる。 (2)また、実験面では、ロープ上端を正弦波加振でき、かつロープ長さを変化させられる試験モデルを予定通り製作することができた。さらに、25年度に予定している地震波加振がスムーズにできるよう加振装置を24年度中に導入することができた。ただし、正弦波での加振実験はロープ長さ一定の条件では行っているが、ロープ長さを変化させた場合の実験はまだ完了していない。 したがって、計画以上に進んでいるところもあるが、全体としては概ね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)(ロープ加振モデルによる検証):小型振動発生機でロープ上端を正弦波および地震波により加振させながら、ロープ長さを変化させる。加振中にロープ長さを変化させることで、共振点を1個または2個通過するモデル実験を行う。試験結果と提案するリアル タイム解析手法の結果を比較することで、正弦波加振および地震波加振された場合の有効性について実験的に検証する。 (2)(全体加振モデルによる検証準備):ロープ上端だけでなく下端も加振できる全体加振モデルを製作し、次年度の全体加振に備える。 (3)(全体加振モデルによる検証):ロープ上端だけでなく下端も加振できる全体加振モデルを用いて、正弦波加振、地震波加振を行いながら、ロープ長さを変化させる。試験結果と提案するリアルタイム解析手法の結果を比較することで、正弦波加振および地震波加振された場合の有効性について実験的に検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費は、試験モデルの改造費用、消耗品を中心に、学会発表や論文投稿費用にも充当する。
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Research Products
(5 results)