2013 Fiscal Year Research-status Report
地震時のエレベータ・ロープ揺れリアルタイム解析手法の開発
Project/Area Number |
24560254
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
木村 弘之 富山大学, 大学院理工学研究部(工学), 教授 (50579315)
|
Keywords | 耐震・免震設計 / 昇降機 |
Research Abstract |
建物上部および地表面(ピット)に設置された地震感知器の加速度データをもとに、かごが走行する場合のエレベータ・ロープ(コンペンロープ)の揺れをリアルタイムに推定する簡易的な方法について検討した。その結果以下のことが分かった。 (1)数値解析:リアルタイム解析に用いる振動モードと刺激係数をロープ長さに応じて時々刻々変化させた場合とロープ最大長さ、1次共振長さ、2次共振長さでの値を用いた場合の数値解析結果を差分法による数値解析結果と比較した。その結果、ロープ最大長さでの振動モードと刺激係数を用いた場合が最も解析精度が良いことが判明した。 また、リアルタイム解析で用いる振動モードの次数は24年度までは3次までであったが5次まで考慮すれば解析精度がやや向上する(3次までの場合には一部誤差30%を超える結果があったのに対して、5次まで考慮すれば誤差30%以内となった)こと、ロープ変位を計算する場所の数を減らせることを確認した。 (2)正弦波加振試験: 走行中に共振点を1回または2回通過する条件で、正弦波加振試験を行い、数値解析結果と比較した。1回(1次の共振点のみ)通過する場合には、両者はよく一致したが、2回(1次の共振点と2次の共振点)通過する場合にはあまり一致しなかった。この原因については、26年度継続して調査を行う。また、2回通過する場合も最大変位は1次の共振点通過時に発生することが判明した。 (3)地震波加振試験: まず、ロープ上端のみを地震波加振できるようにし、いくつかの地震波で実際に加振できることを確認した。さらに、ロープ上端と下端とを同時に加振できるよう加振装置を改造した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)理論面および数値解析面では、ロープの張力分布を考慮した振動モードや刺激係数を用いて簡易計算を行えば、解析精度が向上することを確認でき、当初計画より進んでいる。また、簡易計算では3次または5次まで考慮すれば十分であることを確認している。 (2)一方、実験面ではロープ上端を正弦波加振しながら、ロープ長さを変化させるモデル実験を行い、1次の共振点を通過する条件では解析結果と実験結果とが良く一致することを確認できたが、2次の共振点まで通過する条件では課題が残っており、まだ完了していない。 したがって、計画以上に進んでいるところもあるが、全体としては概ね順調に進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
(1)ロープ加振モデルでの検証:ロープ上端を正弦波加振または地震波加振させながら、ロープ長さを変化させる。25年度の実験で共振点を2回通過する条件で解析結果と一致しなかった原因を究明するため、ロープの減衰に及ぼすロープ長さや振動次数の影響についても調査する。 (2)全体加振モデルによる検証:ロープ上端だけでなく下端も加振できる全体モデルを用いて、正弦波加振、地震波加振を行い、本研究で提案しているリアルタイム解析手法の妥当性を検証する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
残額がセンサー等を購入するには額が少ないため、次年度予算と合わせて購入する。 次年度の予算と合わせて、消耗品であるセンサー等の購入費用に充てる。
|
Research Products
(4 results)