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2012 Fiscal Year Research-status Report

ロボットモデルによるタンパク質の機能発現過程の理解

Research Project

Project/Area Number 24560309
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

Research InstitutionKanagawa Institute of Technology

Principal Investigator

有川 敬輔  神奈川工科大学, 工学部, 准教授 (50350674)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2015-03-31
Keywordsロボット機構 / 蛋白質
Research Abstract

本研究では,タンパク質を主鎖構造とばねで構成された柔軟構造体として粗視的にモデル化し,これを一種の柔軟ロボット機構と捉え,ロボット工学的視点によって,そのコンプライアンス特性(外力に対する応答性)を評価することを基本とする.本年度は,主として,本手法を複数のタンパク質を含む系に適用するための理論的拡張,計算フレームワークの考案,計算機プログラムとしての予備実装を行った.
まず,空間内に任意に配置した複数のモデル間にばねを配置した系について,系全体のコンプライアンス特性の評価を可能とする理論的拡張が必要であった.これに際し,一つのモデルを対象に開発した解析手法を単純に拡張するのではなく,計算の効率性を重要視した新たな解析基礎式の導出も含む形で拡張を行った.この新たな解析基礎式に基づけば,別々のCPUで計算した各モデルの計算結果を融合していくことで計算を進めることが可能となる.加えて,モデルの配置変更,モデルの追加に際して,過去の計算結果の一部を再利用することで計算の効率化を図ることも可能となる.このほか,モデルの柔軟成分だけを抽出する自由度圧縮アルゴリズムや部分的に剛体を導入するアルゴリズム等の開発も行った.さらに,これらをまとめた,計算フレームワークを考案した.このフレームワークは,モデルごとのコンプライアンス計算や自由度圧縮計算を行う複数のプロセス,計算過程を再利用可能な形で保存するためのライブラリからなる.このフレームワークの予備実装を行い,試験的に計算を行った結果,8000残基以上を含む系の解析が可能であることを確認した.
タンパク質の機能発現過程を理解するためには,複数のタンパク質モデルを含む系を扱うことが不可欠である.本年度考案した計算フレームワークは,このような系の効率的解析を可能とするものであり,今後の本研究の基盤となるものである.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

これまでに開発した一分子モデルを対象とした解析手法を,複数のモデルを含む系を解析できるように拡張した(並列計算,再利用計算可能).また,モデルの柔軟成分だけを抽出することで,系の自由度を圧縮するためのアルゴリズムや部分的に剛体を導入するためのアルゴリズムの開発も行った.さらに,これらをまとめた計算フレームワーク(複数のコンピュータ上で動作するプロセスと,計算の途中経過を再利用可能な形で保存するライブラリからなる)を考案し,これをコンピュータプログラムとして予備実装した.試験的に計算を行った結果,8000残基以上を含む大規模な系について計算可能であることを確認した.
本研究においては,複数のモデルを含む系について解析を行うことが必要不可欠である.ロボットモデルは粗視化モデルであるとはいえ,計算時間や使用メモリーについて十分に配慮しなくては現実的な計算を行うことはできない.特に,計算の並列化,計算途中経過の再利用が重要な鍵となる.上記のように,並列計算および再利用計算という特徴を備えた計算フレームワークを予備実装し,実際に大規模な系を解析できることを確認したが,これは今後の研究において基盤となるものである.なお,この計算フレームワークを中心とする研究成果をまとめたものを国際会議で発表すべく投稿した結果,査読を通過した(平成25年8月発表予定).
以上の研究進捗状況を踏まえ,現在までの達成度を「おおむね順調に進展している」と判断した.

Strategy for Future Research Activity

提案した計算フレームワークの現在のプログラム実装は予備的なものであるが,これまでに行った検証に加え,さらに幾つかの系について検証を行った後に本実装を行う.特に,並列計算におけるデータ授受の効率化,メモリー使用効率の向上,GPGPUの活用について検討の余地が残されており,これらを中心に改善を図っていく予定である.
さらに,本実装した計算フレームワークによる検証解析を行うとともに,解析結果から機能発現につながる特徴量を抽出するための方法,および,抽出した特徴量により機能発現過程を簡潔に表現する方法について検討していく(この段階においても,ロボットの制御や機構設計の知見を有効に活用できると期待される).また,多様な系の解析を効率的に行えるよう,解析用データを半自動的に作成できるようなフィルタープログラム群(例えば,欠失の処理)やユーザーインターフェースプログラムの整備を順次行っていく.
そして,機能発現過程が計測により明らかにされている様々な系(物質輸送,信号伝達,酵素反応等)を対象に解析を行い,その結果と計測特性との比較検討を通し,系の挙動解析アルゴリズムと特徴量による機能発現過程の表現方法の修正を行っていく.さらに,このシーケンスの繰り返しを経て最終的に得られた方法が,実際に機能発現過程を説明しうるものであるか妥当性を検証する.
なお,本研究の過程で得られ知見については学会で発表していく.

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

本年度は,計算フレームワークの本実装とその動作検証,および,機能発現につながる特徴量を抽出するための方法,および,抽出した特徴量により機能発現過程を簡潔に表現する方法について検討することを中心に研究を進めていく.複数の系を同時に解析することでこの過程を効率的に進めるためにも,また,規模の大きな系を解析するためにも,現有のワークステーションに加え,複数CPU,大容量メモリー,GPGPUボードを備えたワークステーションを購入する.また,計算環境の構築に必要な支出としてネットワーク関連機器に関する費用,データ保存のためのハードディスクの購入費用が,ソフトウェア関連の支出として,並列プログラム開発ツールの購入費用,解析結果を効果的にグラフィック表示するためのソフトウェア購入費用,行列計算をはじめとした汎用数値計算ライブラリの保守費用がある.その他,タンパク質科学に関する資料購入のための費用,研究成果発表に関わる旅費,学会参加費,英文校閲費を支出する.

  • Research Products

    (2 results)

All 2013 2012

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] A Computational Framework for Predicting the Motions of a Protein System from a Robot Kinematics Viewpoint2013

    • Author(s)
      Keisuke Arikawa
    • Organizer
      2013 ASME, IDETC, 37th Mechanisms and Robotics Conference
    • Place of Presentation
      Oregon (USA)
    • Year and Date
      20130804-20130807
  • [Presentation] ロボット機構の運動学に基づくタンパク質の内部運動解析2012

    • Author(s)
      有川 敬輔
    • Organizer
      第50回日本生物物理学会年会
    • Place of Presentation
      名古屋大学(愛知県)
    • Year and Date
      20120922-20120924

URL: 

Published: 2014-07-24  

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