2012 Fiscal Year Research-status Report
金属流体電磁ポンプとマルチグリッド法による電磁流体有限要素解析
Project/Area Number |
24560352
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Fukui University of Technology |
Principal Investigator |
島崎 眞昭 福井工業大学, 工学部, 客員教授(特任) (60026242)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
美舩 健 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20362460)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | フラット誘導電磁ポンプ / フーリエ変換 / フラット誘導電磁ポンプの2次元解析 / CRS形式 / 安定化有限要素解析 |
Research Abstract |
1)液体金属用フラット誘導電磁ポンプの実験 作動流体として低融点合金Sn-Bi-In合金(融点摂氏約58度)を用いた。10cm立方のステンレス(S304)バット2個を約50cmの距離で対向させ、11mm×9mmのステンレス角パイプを傾斜度約0.1で接続し、電磁ポンプ流路とした。また2個のステンレスバット間に水平のステンレス円筒パイプの液体金属帰路を作成した。角パイプ流路の両側に固定子を対向させ、誘導電磁ポンプとした。三相固定子コイルをインバータ駆動し、移動磁界を生成し液体を駆動する。低融点合金金属を傾斜に沿い重力に逆らって汲み上げ移動させることができることを確認した。市販の超音波流量計で液体金属の流速の計測を種々試みたが、センサー部の連続使用最大温度が低融点合金の融点より低いため、安定的な流速の計測は無理であることが判明した。今回液体金属の流速のデータ取得は断念し、シミュレーションコードの流速の検証には最近外国で発表された論文の例題と結果等を用いることとした。 2)シミュレーションプログラムの開発 電磁流体方程式は非線形であるが、流速が定常とみなせる場合、移流速度を平均速度で置き換え、線形化できる。フラット型誘導電磁ポンプの2次元モデルを作成し、線形化された電磁流体の基礎方程式を流速方向にフーリエ変換し、境界条件を使用して解を導き、数値逆フーリエ変換を適用し、準定常解を求めた。流路のダクト壁に流れる渦電流を計算し、絶縁壁の場合と比較し推進力の低下の程度を示した。(電気学会静止器・回転機合同研究会SA-12-092,RM-12-107、IEEE CEFC2012ポスターMP1-17)。2次元、3次元のNavier-Stokes方程式に対し、係数行列をCRS形式で保持する安定化有限要素解析法のプログラムを開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1) 液体金属用フラット誘導電磁ポンプの実験 低融点合金を作動流体とするフラット誘導電磁ポンプの原理的確認はできたが、流量計測が困難である。これは問題であるが、本来実験はシミュレーションコードの検証が目的であるので、2013年に公表された論文を用いれば、電磁流体コード検証の当初の目的は達成できると考えられる。 2)シミュレーションプログラムの開発、2-1)フーリエ変換を用いた電磁ポンプの準定常解析 移流速度を一定として線形化する解析では定常解析しかできないという限界があるが、ダクト壁に流れる渦電流による推進力への影響の解析が出来た。ダクト壁の影響を有限要素法で解析する場合、壁の厚みが薄いので扁平要素ができやすく、計算量が極めて大きくなる。フーリエ変換を用いる方法は計算量が圧倒的に少ないので有効な方法と考えられる。2-2)有限要素法のプログラム開発 当初予定していなかったフーリエ変換を用いた電磁ポンプの準定常解析を優先的に進めたため、有限要素法の開発は少し遅れ気味であるが、流体解析部、電磁解析部の連立一次方程式のデータ構造をCRS形式に統一することができたので、今後のプログラム開発進展に有効と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は有限要素法プログラム開発をさらに進める。電磁流体の方程式とNavier-Stokes の方程式とを練成させるとき、1)弱練成の方法、2)強練成の方法とがある。まず弱練成の方法を試み、その特性を調査する。時間発展の方程式であるから、安定性の観点から陰的な手法をとる必要があるが、複数の項のうちどの項を陰的にするかを検討、数値実験を行う予定である。 例題としてはFaraday型の電磁ポンプの2次元モデル、3次元モデルを取り上げる予定である。また結果については文献の結果と比較する予定である。陰的な手法を取り上げる場合、大規模連立一次方程式を解くことになるが、反復法の収束特性を調査し、AMG前処理について検討する。電磁界の方程式、流体の方程式に共通するコースニングの手法が有効かどうか調査する。2)の強練成の手法を採用すると、大規模非線形方程式を解く必要がある。ニュートン法を採用して反復的に解くことになるが、その際大規模線形連立一次方程式を解く必要があり、やはりAMG前処理の有効性について検討する。準定常解析が使用できる場合について、フーリエ解析を用いた解析法の結果と有限要素解析の結果とを比較し、フーリエ解析を用いた場合の誤差および手法の限界について検討を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
有限要素法プログラム開発を九州大学情報基盤センターの計算機で行うため、計算機使用料を計上している。高度の電磁界解析手法に関しては、研究代表者、分担者がともに委員を務めている電気学会調査専門委員会で有益な議論が行われることが多いので、この調査専門委員会に積極的に参加する計画で、委員会出席のため、旅費を計上している。シミュレーションプログラムの高速化に関連して情報処理学会シンポジウムSACSIS2013(Symposium on Advanced ComputingSystem and Infrastructure System 2013)、情報処理学会HPC研究会でも有用な情報が得られるので、積極的に参加、研究調査を行う。研究調査、並びに研究発表のため、国外学会参加のため国外旅費を予定している
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