2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24560403
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
篠原 真毅 京都大学, 生存圏研究所, 教授 (10283657)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | マイクロ波電力伝送 / レクテナ |
Research Abstract |
ワイヤレスセンサネットワークでは各センサ端末のバッテリを定期的に交換する必要があり,コスト上の問題となっている.そこで本研究はマイクロ波電力伝送を用いてバッテリ交換の不要なワイヤレスセンサネットワークの実現を目指す.マイクロ波電力伝送とは、マイクロ波を用いて無線で電力を伝送する技術である。本研究では周波数資源有効利用のために同一周波数帯を用いて、マイクロ波電力伝送とセンサー通信を行うことを目的とする。本研究の送電対象となるZigBee端末の通信は一定時間に短時間通信を行う.これまで,通信を行なっていない時間に送電を行うことで送電マイクロ波が通信に干渉せずに電力を供給することに成功している.その時の受電電力利用効率は27.5%であった.これは電圧安定化回路の入力電圧に対してその入力インピーダンスが変化するため,RF-DC整流回路の最適負荷からずれることに起因する.そこで効率の改善をするための受電装置を改良について検討を行った.受電装置はレクテナと呼ばれ、アンテナと整流回路から構成されるパッシブ素子である。検討した回路の1つである反射波利用型RF-DC整流回路を作成し評価を行った.RF-DC整流回路単体の最適負荷より低い負荷範囲において効率の改善が見られた.更に電圧安定化回路および負荷を反射波利用型RF-DC整流回路に接続し,間欠マイクロ波を入力し受電電力利用効率を測定した.結果として受電電力利用効率は51.4%と従来より23.9%改善することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度はマイクロ波電力伝送を用いてバッテリ交換の不要なワイヤレスセンサネットワークの実現を目指し、高効率のレクテナの開発を目標としていた。計画では連続波を用いたシングルシャント整流回路の動作解析とパルス波を用いたシングルシャント整流回路の動作解析をそれぞれ回路解析シミュレータADSを用いて行い、動作原理どおりの整流を行うか、実験で検証する計画であった。整流回路の動作解析の結果、センサネットワークを駆動するに十分な電力をマイクロ波電力伝送を用いて給電する場合、整流回路単体ではなく、電圧安定化回路を加えた整流回路のほうが効率が良いことが分かり、整流回路を改良した。さらに電圧安定化回路の入力電圧に対してその入力インピーダンスが変化するため,RF-DC整流回路の最適負荷からずれることが分かったため、反射波利用型RF-DC整流回路の検討を行い、その結果受電電力利用効率を改善することができた。これは当初の目的であるマイクロ波電力伝送を用いたバッテリ交換の不要なワイヤレスセンサネットワークのための最適な整流回路を提案・開発に成功したことを意味し、おおむね当初研究目的に対して成果を得ていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
同じ電力をマイクロ波電力伝送するのであれば、パルス間欠送電をした方がレクテナの効率が高くなる可能性がある。パルスのデューティ比に応じて連続波の何倍も瞬時電圧がレクテナ回路のダイオードにかかるからである。つまり平均的には送電電力が小さくとも、パルス送電であるが故に連続波よりもダイオードに電圧をかけることが可能となり、結果低いマイクロ波送電電力でも高効率化を図りやすくなる。このようなことを念頭に置き、今後は今年度検討を行ったZigBee用低入力パルスマイクロ波送電に最適と考える反射波利用型RF-DC整流回路と比べ高効率と予想されたRF-DC-DC回路の作成および評価を行う.ZigBeeを動作させるに適した整流回路とは、パルス波の利用と共に、非常に弱い電力で高効率を実現しなければならないという特徴がある。ZigBeeは様々なセンサーの中でも消費電力が小さい。無線電力伝送としては低消費電力センサーのほうがシステムとしては適しており、そのためにZigBeeを選択しているのであるが、逆にレクテナ整流回路にとって見ると、低すぎるマイクロ波を高効率で整流するのは難しい。レクテナで非常に高い変換効率を実現するためにはいかにダイオードに電圧をかけるかであり、間欠送電とともに整流回路の工夫も必要となる。これを反射波を利用することで実現するのである。また,センサネットワークとして選んだZigBee端末への送電スケジューリングの見直し及び改善を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
マイクロ波電力伝送用整流回路及びRF-DC-DC回路の作成および評価のためのマイクロ波回路関連消耗品 80万円 成果発表及び研究打ち合わせのための旅費 国際学会出張1回25万円+国内出張6回20万円 実験補助用謝金 5万円 国際学会参加費及び論文別刷り 10万円 直接経費計 140万円
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Research Products
(3 results)