2012 Fiscal Year Research-status Report
マスク転写自己形成による光配線のための接続技術と光デバイスの研究
Project/Area Number |
24560417
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
三上 修 東海大学, 工学部, 教授 (30266366)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 光インターコネクション / 光硬化樹脂 / 光配線 |
Research Abstract |
【はじめに】LSI チップ間の信号伝送に電気配線に代わってシリコン導波路等の光配線の導入が検討されている。しかし,シリコン導波路の幅が狭く,光入出力がきわめて困難である。この問題を解決するために,自己形成導波路の技術を用いて作製する光ピンの導入を提案し,そのなかで光ピンの長さや直径,ストレートまたはテーパ形状,傾斜角度等の値を最適設計することを初年度の検討課題とした。 【フォトマスク転写法による光ピンの作製と形状制御】今回、フォトマスク転写法を用いてオフセット角10°傾斜光ピンの作製を目的とし,2つの方法でスライドガラス及びシリコン基板上に,傾斜光ピンの作製を行った。フォトマスク上でのピンの開口径は50ミクロンである。実験1はライトガイドを直接傾けて照射する方法、実験2は計算で算出した任意の角度を持つプリズムをフォトマスク上に配置し,照射する方法である。実験1では直径50ミクロンから45ミクロンで,オフセット角11.5°の光ピンが作製できた。実験2では、光ピンは直径50ミクロンのストレート形状で,オフセット角9.7°を実現した。 【ファイバ端面への自己形成ポリマー光ピンの作製】シリコン導波路からの入出力効率を評価するために,マルチモードファイバ(MMF)端面に光ピンを製作する必要が生じた。ブルーレーザ光の内部照射によって,MMF端面に自己形成ポリマー光ピンを作製し,形状制御の条件を検討し,さらにコアとの結合損失の測定評価を行った。目標とする光ピンの形状は,直径50ミクロンのストレート形状,およびファイバ側から先端に向かって太くなる先太りテーパ形状の2種類であり,長さは数百ミクロンである。それぞれの形状につき3個ずつ作製し,再現性及び形状制御の確認をした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フォトマスク転写法は当研究計画書での要な技術である。本法を用いて作製できる光ピン長さや直径,ストレートまたはテーパ形状,傾斜角度等の値を最適設計することが検討課題として挙げられる。このため、入出力用のポリマー光ピンを作製し,再現性および形状制御の検討を目的として実験を遂行した。その結果、所望の形状を作製できることを確認した。とくにオフセット角度を有する光ピンについては、設計した角度のプリズムを採用することによって、容易に所望のオフセット角度を実現できることが分かった。また基板には反射防止膜を事前に形成しておくことが必須であることも明らかにできた。 ブルーレーザ光による自己形成光ピンの作製については、光ピン形状と照射光パラメータとの相関を確認し、形状制御の実験を行った。その結果、照射光パラメータを変化させることで、自己形成光ピンの作製形状に大きな影響を及ぼすことが分かった。 さらにこれらの光ピンの周りを、光ピンより小さい屈折率を有する光硬化樹脂で充填することによって、クラッドを作製した。コア、クラッドの最適屈折率を設計し、所望の光閉じ込め効果(NA)を実現できることを確認した。クラッドを形成することによって、光ピンの機械的強度を大幅に改善することができ、光ピンにより実用的な特性を持たせることが可能である。 以上、2つの作製方法およびコア、クラッド用光硬化樹脂を用いて、所望の光ピンを作製できる見通しを得た。 。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度では主として1チャンネルの光ピンの作製に重点を置いたが、今後、多チャンネル化、また形状もストレートだけでなく、テーパも必要であり、これらを再現性よく安定して作製する技術の確立が求められている。まず当面の課題として、任意のオフセット角を持ち、たとえば125ミクロンのピッチで12チャンネルの光ピンを再現性よく、一括転写作製できる条件を検討していく。 さらに、これらの光ピンとの光ファイバとの結合についても検討を始める。光ピンの実用度を高めるためには、外部の光ファイバあるいは光配線板を高い効率かつ簡易に接続(結合)できるコネクタの出現が不可欠である。今回開発したポリマー光ピンの製作方法を応用し、従来にない斬新な光コネクタの提案を計画している。たとえば、直角光路変換の機能を有し、超小型サイズで多チャンネルの光コネクタがひとつの目標である。この光コネクタが実現できれば、光インターコネクション・光配線の実用化がますます加速すると期待される。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
助成金の繰り越しが発生した主要な理由は、購入を計画した樹脂材料や製作に使用する精密光部品を企業の援助により、支給・貸与を受けることができたためである。次年度は、当初通り、研究に必要なフォトマスク、光学部品等の購入を予定している。
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