2012 Fiscal Year Research-status Report
コモンモード伝送と自己給電によるグリーンPLCのための基礎研究
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24560461
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
都築 伸二 愛媛大学, 理工学研究科, 准教授 (60236924)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 芳郎 愛媛大学, 理工学研究科, 教授 (00110833)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | スマートセンサ情報システ ム / PLC(電力線通信) / 低消費電力 / エネルギ管理システム / ディファレンシャルモード / 漏えい検出 / マイコン / 2値FSK変復調 |
Research Abstract |
(1)N-PE伝送方式の開発:従来のkHz帯PLC(10k-450kHzの帯域を用いる電力線通信)は、Live線とNeutral(N)線の間にPLC信号を注入するディファレンシャルモード(Diff-mode)信号伝送方式を用いている。しかし、同じ線に接続される家電機器の入力インピーダンスは、この周波数帯では数Ω程度しかないため、PLC信号は20~30dB減衰するという問題があった。交付申請時点では、コモンモード(Com-mode)伝送を採用する予定であったが、本研究の結果、漏電ブレーカの誤動作問題とDiff-mode伝送時の信号減衰問題の両方を回避できる方式として、PE線(Protective Earth, コンセントの3番目のアース端子)とN線間に信号を注入するN-PE方式が最良であることを見出した。研究室以外に、一戸建て家屋、商用ビル、大学の講義棟で提案方式を適用したところ、ノイズ環境が劣悪な講義棟以外で提案方式が有用であることを実験的に示した。 (2)(1)の方式はDiff-modeとは直交しないためCom-modeではないが、伝搬路は同じ大地をとおるため、不要輻射問題を起こす可能性がある。筆者らが従来から取り組んでいるPLC信号の漏えい検出法の一つであるPPS(Periodic Packet sound)法の問題であった、背景パケットによる検出精度の劣化度を明らかにした。 (3)自己給電の場合、低消費電力であることが重要であるため、ワンチップマイコンで変復調機能を実現する必要がある。本年度は、2値FSK変復調方式(f0=250kHz, f1=300kHz)をARM社Cortex-M3 32bit マイコン(mbedマイコンボードを使用)に実装した。太陽光発電パネルを8枚直列にした線路に適用したところ、1200bpsで誤りなく通信できることを実験的に明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(1)使用する信号伝送方式:当初コモンモードを用いる予定であったが、漏電ブレーカの誤動作問題の解決のためには上記N-PE伝送方式のほうが優れていることが実験の結果分かった。ただし、本質的には当初の想定からの変更ではなく、むしろ改善できると考えている。 (2)PLC信号のみで給電を行う自己給電(SP)型用電源回路の開発:予備実験として、より難易度の低いワイヤレス給電(20MHz帯)用の電源回路の開発を先行して行っている。周波数帯が同じで信号の伝送効率がより高いためである。試作機の変換損失は8dBであり、主に初段の全波整流用ダイオードの損失が大きい。部品の再選定を行っているところであり、改善の目途が立てば、その回路を本研究にも適用する予定である。 (3)低消費電力化・小型化・低コスト化: 上記のようにマイコンにFSK機能を実装できたので、小型化の目途はついている。ただし32ビットマイコンを使っているため、今後はこれを8ビットマイコンに移植して、より低消費電力化・低コスト化を図る。 (4)ユーザ認証を伴う公衆コンセント: 類似の検討がSONYで行われており、当該研究者を情報交換を行っている。彼らのほうは製品化に近い状態であり、本研究は後発となるため独自性や優位性について再考する必要がある。 (5)スマート分電盤、HEMS、およびBEMSへの適用:従来技術を用いてこれらは別途開発しており、自己給電型PLCが開発できた際の適用実験の準備はできている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度:(1)測定すべき電気機器への電流は60Hzであり、SPは主としてPLC信号から自己給電するが、N-PE伝送ではノイズが多いことを利用して、60Hz~10kHzまでのノイズからも給電する。PLC信号であるFSK変復調回路の前にはf0~f1の信号成分のみが通過するBPF(Band Pass Filter)を挿入する等により、3つの周波数帯域でCT(電流トランス)を動作させる必要がある。これらの周波数域での3つの回路の入力インピーダンス特性をもとに、CT用のトロイダルコアの設計(二次巻線の巻数、二次側の抵抗、およびコアの選定)を行う。 (2) SP部でスーパーキャパシタに十分蓄電できたらPLC変復調回路・マイコン・電流測定回路を起動させ所望の通信を行い、蓄えた電力を消費し終えたら再びスリープする。マイコンは、8ビットCPU(Atmel社AVR)にすることで、平成24年度よりも省電力・低コストを実現する。なお、IEC 61334-5-1国際規格のFSKは複数のfcを用いるS-FSK(Spread FSK)方式であるため、本提案システムとの競合が懸念される。これまでのIEEEやITU-Uで行われている議論の経緯から、非標準準拠システムとは、別途定める共存手順により競合を回避するはずである。本研究の実装にあたり、既存のPLCシステムとの共存手順についても検討する。 平成26年度:(3)プラグイン型EV用の充電ケーブル(EVSE; Electric Vehicle Supply Equipment)を参考にしながら、電源側の供給能力に応じて、電気機器を動作させる、いわゆるDSM(demand side management)型の「スマート分電盤」を試作する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
*当初インピーダンスアナライザ(エヌエフ回路設計ブロック社ZA5405)・20Hz~120MHz (1台×3,000千円)を購入する予定であったが、アンリツ社ネットワークアナライザを安価に購入することができた(399千円、中古品)。そのかわり、当初計上していなかったパワーコンディショナ―、クランプ型接地抵抗計等を購入することで、上記の各種フィールド実験を効率的に行うことができた。 *上記のとおり、自己給電型用電源回路の開発が遅れているため。これを挽回するため 「電磁界解析シミュレータ、WIPL-D, 1215千円」、「交流電子負荷、菊水社PCZ1000A、808.5千円」等の追加購入を検討する。 *なお、プログラマブル交流電源(エヌエフ回路設計ブロック社DP015S, 1.5kVA) (1台×680千円)、見える化タブレット端末(Sony社SGPT112JP/S相当品)×一式(51千円)、自己給電型PLCシステム製作用電子部品(DC/DCコンバータ、スーパーキャパシタ、トランス、8ビットマイコン、電流センサ、リレー等)×一式(139千円)は当初計画とおり購入する。
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Research Products
(14 results)
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[Presentation] みんなでおでんきPJ ~スマートメータシステムの実装~
Author(s)
二宮政浩, 鈴木才太, 佐々木隆志, 都築伸二, 鈴木信, 兼築史季, 早田洋一, 山田芳郎
Organizer
情報処理学会研究報告, IPSJ SIG Technical Report, Vol.2013-IS-123, No.3, pp.1-8, 第123回情報システムと社会環境研究発表会
Place of Presentation
東京
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[Presentation] みんなでおでんきPJ ~ソーシャルコンセントの実装~
Author(s)
松重雄大,鈴木才太,佐々木隆志,都築伸二, 鈴木信, 兼築史季, 早田洋一, 山田芳郎
Organizer
情報処理学会研究報告, IPSJ SIG Technical Report, Vol.2013-IS-123, No.2, pp.1-6, 第123回情報システムと社会環境研究発表会
Place of Presentation
東京
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