2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24560480
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
田中 將義 日本大学, 生産工学部, 教授 (30339270)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 多値変調 / 32APSK / 64QAM / 空間重畳合成 / 電力増幅器 / 高効率電力増幅 / 非線形歪 / フェーズドアレイアンテナ |
Research Abstract |
具体的内容 3ビームの空間重畳合成法に許容される重畳誤差を明らかにし,本許容誤差を満足する空間重畳合成に適したアンテナ構成法,重畳合成時の消費電力を検討した.具体的な内容は以下の通りである.(1)空間重畳合成時の種々の誤差における32APSK変調信号の伝送特性を解析し許容利得誤差,許容位相誤差を決定,アレイアンテナ設計目標を決定した.(2)解析により3ビーム間の利得誤差,位相誤差が小さく,空間重畳合成効率が高いアンテナ系構成法を明らかにした.(3)実験に使用する構成要素の調査,設計・製作 組み立て・製作法を検討した.(4) 3つのアンテナ素子から構成されるアレイアンテナを製作し,放射パターンを測定し,ベクトル重畳合成妥当性を確認した.(5) 32APSK変調波の予備実験として16QAM波をベクトル合成する実験系を構成し,送信系の電力増幅器(HPA)の電力消費を実測した結果,従来方式に比べて50%以上の低減が可能である見通しを得た.(6)上記の検討の成果を国際会議,国内学会で発表した. 意義・重要性 衛星通信では,占有周波数帯域の有効利用と送信機の省エネルギ化が重要である.周波数帯域の有効利用が可能な多値変調波は振幅変動が大きく,HPAの非線形特性による劣化を避けるために,動作点を下げて使用する結果,出力電力の低下と電力効率の低下を引き起こす.さらに所望の出力を得るためにより高出力のHPAが必要となり,省エネルギ化が難しいこと,電源の大容量化,熱対策のハードウエアが必要となる等,システムの経済的構築が難しい欠点がある.本研究により,多値変調波を複数の振幅変動の小さい複数の波に分割し個別にHPAの非線形領域で高効率電力増幅後に,空間でベクトル重畳合成する高能率伝送方式は,有限資源である周波数とエネルギを同時に有効活用可能な画期的な方式となり得る見通しを得た意義は大きい.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り,下記の(1)から(4)を実行した.さらに下記(5)の実験を先行して行い,本研究で提案している空間重畳合成多値変調波方式は,エネルギ消費の低減に有効である見通しを得ることができた. (1)32APSK変調信号の空間重畳合成時の許容利得誤差,許容位相誤差を決定し,アレイアンテナ設計目標を決定した.(2)解析により3ビーム間の利得誤差,位相誤差が小さく,空間重畳合成効率が高いアンテナ系構成法を明らかにした.(3)実験に使用する構成要素の調査,設計・製作 組み立て・製作法を検討し3つのアンテナ素子から構成されるアレイアンテナを製作し,放射パターンを測定し,ベクトル重畳合成妥当性を確認した.(4)上記の成果を米国航空宇宙学会(AIAA)の衛星通信通信国際会議(ISCCS2012)で発表し実現性をアピールした.さらに電子情報通信学会の衛星通信部門で発表した. (5)32APSK変調波の予備実験として16QAM波をベクトル合成する実験系を構成し,送信系のHPAの電力消費を実測し,従来方式に比べて,50%以上の低減が可能である見通しを示した.
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Strategy for Future Research Activity |
3ビーム間の重畳誤差の測定,ならびに2つのQPSK波と1つのBPSK波を給電し,受信信号の信号空間配置を観測し,許容の振幅・位相誤差が実現可能であるか否かを検証する実験を行う. (1)3ビームの放射波を空間合成するアレイアンテナを製作する.(2) 3ビーム空間重畳合成用アレイアンテナの重畳誤差の測定 放射パターンを3ビームにつき測定し,振幅,位相の重畳誤差を求める.実測結果が,解析結果と相違する場合には,再度解析を行い,設計にフィードバックする.(3)受信信号の信号空間配置の観測と伝送特性の評価 空間重畳合成を用いた32APSK変調波の送信系を構築する.送信側に3つの変調器(QPSKとBPSK)を準備し,各アレイアンテナ素子に給電する回路に位相・振幅調整回路を付加する.受信側では,単体のアンテナで受信・復調し,空間重畳された多値変調波の信号空間配置を観測し,信号空間配置の誤差の定量的な評価を行う.(4) 送信系の消費電力測定 上記の実験と並行して,各HPAの消費電力を測定し,省エネルギ効果を評価する. (5)上記の検討で得られた成果を国際会議で発表する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
高周波変調信号発生装置のリース料の支払い,フェーズドアレイアンテナの実験に使用する可変位相器,可変減衰器の購入,アレイアンテナ製作用の治具の調達,研究成果を国際会議で発表するための旅費等に使用する予定である.
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