2012 Fiscal Year Research-status Report
実験及び数値流体解析に基づく竜巻状旋回上昇流の制御方法に関する研究
Project/Area Number |
24560583
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
野田 稔 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 准教授 (30283972)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長尾 文明 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (40172506)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 竜巻状流れ / マルチベーン / マルチファン / 竜巻シミュレータ / LES / 風災害 / 飛散物 |
Research Abstract |
本研究課題は,深刻な被害をもたらす竜巻への対策が急がれていることを鑑みて,開発に取り組んできた収束層への流入角および流入速度に分布を与えられるマルチファン・マルチベーン式竜巻シミュレータと数値流体解析を使って,①非対称な流入境界条件において発生する竜巻状旋回上昇流の流れ場の変化を系統的に調べ,竜巻状旋回上昇流の特性を流入境界条件によって制御する技術を確立するとともに竜巻状旋回上昇流の流れ場に対する流入境界条件の影響を明らかにすること,②実験的・数値流体的に求められた竜巻状旋回上昇流内での流速分布を元に,竜巻内の飛散物の挙動を明らかにすること,③竜巻の発生の有無を左右するような流入境界条件とそれを左右する地形因子を抽出することを研究目的としている。本年度に得られた成果を以下に示す。 非対称な流入境界条件を与えることによって,竜巻状旋回上昇流の発生場所を移動させることができ,その移動方向が収束層外周における対面同士の流量の差に支配されていることが明らかとなった。竜巻状旋回上昇流の制御技術確立に向けて,この流量分布に着目した流入境界条件の決定法を確立する必要がある。 また,LESを用いた竜巻状旋回上昇流の再現計算が実施され,流入角を制御するベーンの大きさを従来の2倍にすることでベーンの影響を強めることを明らかにし,マルチファン・マルチベーン式竜巻シミュレータの改善を行った。 一方で,LESによって求められた対称場の流速分布に高さおよび竜巻状旋回上昇流の中心からの距離毎のアンサンブル平均を施すことで求められた平均流速分布を使って,竜巻状旋回上昇流中における平板状飛散物の飛行解析技術を確立した。この結果,竜巻状旋回上昇流中における平板状飛散物の飛行軌道は,ある一定の半径に収束する性質を有していることが明らかになり,そのメカニズムについて検討する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述の研究の目的に対して,今年度に実施を予定していたテーマは,①流入境界条件による竜巻状旋回上昇流の制御則の確立,②数値流体解析によるマルチファン・マルチベーン式竜巻シミュレータの再現計算,③非一様流場における三次元物体の六自由度飛散軌道解析手法の確立の3つである。 ①のテーマについては,収束層への流入量の分布が竜巻状旋回上昇流の発生位置を移動させる重要な因子となっていることが明らかとなり,竜巻旋回上昇流の発生位置を制御するためには収束層への流入流速分布を変化させればよいという方向性が示され,本テーマが目指した目標に概ね到達した。 ②のテーマについては,マルチファン・マルチベーン式竜巻シミュレータの内部流れをLESによって再現する技術を確立し,さらにその技術を使ってベーンの大きさを変化させることによって流れ場に対するベーンの影響力をより強められることを明らかにした。また,③のテーマに用いる詳細な流速分布を提供できるようになり,本テーマが目指した目標に到達した。 ③のテーマについては,②で生成された流速分布に高さと中心からの距離毎のアンサンブル平均によって,対称場の平均流速分布を求め,その流速分布を使って平板状飛散物の飛行解析技術を確立した。この結果として,竜巻状流れ場における飛散物の飛行軌道が求められるようになり,③の目指す目標は十分達成された。 以上のように,当初の計画に従って,各テーマは成果が上がっており,ほぼ計画通りに研究が進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度に取り組む研究テーマは,①流入境界条件が竜巻状旋回上昇流の特性に及ぼす影響と検討すること,②竜巻状旋回上昇流中の飛散物の飛行特性を検討すること,の2つである。 ①のテーマについては,これまでの竜巻状流れ場の発生位置に加えて,竜巻状流れ場の循環や上昇流強さで決定づけられるスワール比や,流速変動場の分布など,より詳細な流れ場の特性に対する流入境界条件の影響について,PIV解析を用いた実験と数値流体解析を併用して検討を進めていく。 一方,②のテーマについては,これまでに明らかになった竜巻状旋回上昇流内の飛散物の飛行軌道がある一定半径へと収束する現象がなぜ起こるのか,そのメカニズムの解明に取り組んでいく。また,一方で,飛行時の姿勢に対する飛散物の重心位置の影響などを検討項目に加え,飛散物の飛行挙動に対する影響因子を検討していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(7 results)