2013 Fiscal Year Research-status Report
分布型流出モデルを基礎とした洪水・斜面崩壊リスク総合評価手法の構築
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24560624
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
田村 隆雄 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 准教授 (40280466)
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Keywords | 斜面崩壊 / 表層崩壊 / 深層崩壊 / タンクモデル / 分布型流出モデル / 豪雨 / 観測井 / 地下水位 |
Research Abstract |
本研究は,近年多発している山地森林流域の豪雨時斜面崩壊を対象にして,タンクモデルを組み込んだ分布型流出モデルを使った斜面崩壊発生箇所,ならびに崩壊様式(表層崩壊,深層崩壊)の評価・予測を可能にする手法を構築するものである.本手法のメリットは,流域という大きな視点から,タンクモデルで推定した地下水情報(貯水量と存在深)から,斜面崩壊が相対的に発生しやすい斜面と崩壊様式に関する情報を抽出でき,既存の水文資料(雨量,流量あるいは河川水位)を使って安価にできることである.本研究ではこの手法の汎用性を検討すべく,1.斜面崩壊が発生した複数の流域に適用する.2.実際の森林に観測井を設けてモデルから得られる地下水情報を検証する.以下に平成25年度の研究実績を記す. 1.山口県を流れる一級河川・佐波川水系で平成21年に発生した斜面災害を対象に流出モデルを適用して現地の斜面崩壊について考察した.その結果,実際に斜面崩壊が発生した斜面は斜面崩壊が発生しなかった斜面と比べて地下水量が多かったと推定された.また現地で発生した斜面崩壊は全て表層崩壊であったが,これを裏付けるように推定された地下水も表層付近に貯留されていたことがタンクモデルで推定された.以上の事から本研究手法は多くの流域で適用可能な汎用性は高いものであることが示された. 2.平成24年度に作業を開始した一級河川・那賀川流域にある「六丁の森」での観測井工事(浅井戸と深井戸を組み合わせ,3箇所計6本を設置)が終了し,地下水位の観測を開始した.水位計を設置し,数回の大雨の観測を行ったが,地下水位の変動を観測できていることを確認できた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の2つの目的である,①複数の流域にモデルを適用して手法の汎用性を確認する.②実際の森林斜面に観測井を設けて得られる地下水情報とモデルで推定される地下水情報を比較して,手法の妥当性を確認する.について,①では佐波川流域を対象にした解析を行い,妥当な結果が得られたこと.②では,地下水情報を得られる体制ができたことから,研究はおおむね順調に進展していると判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である平成26年度は,①については深層崩壊が発生した斜面を有する流域(一級水系 熊野川を考えている)を対象にしたモデル解析を行い,②については「六丁の森」を対象にしたモデル解析を行って,モデルで推定される地下水情報の妥当性について検証しする.また「六丁の森」を対象にした森林整備による山地災害の減災方法についてシミュレーションを行い,洪水と斜面災害の双方についてリスク評価が可能な手法を提案する.
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Research Products
(2 results)