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2012 Fiscal Year Research-status Report

情報通信技術の進展が交通行動及びプロジェクト評価に与える影響

Research Project

Project/Area Number 24560636
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

加藤 浩徳  東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70272359)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2015-03-31
Keywords時間価値 / ブリーフケーストラベラー / SP調査 / ノンパラメトリック
Research Abstract

今年度は,(1)SP調査による交通行動の実証的分析,ならびに(2)移動中の活動が交通行動に与える影響に関する理論的分析を実施した.
まず,SP調査による交通行動分析では,ODペアが所与の条件下で,一般道路利用経路と高速道路利用経路とを選択する仮想的な状況を複数ケース想定し,被験者に選択してもらった調査データを用いて,交通時間価値の分布の推定を行った.時間価値推定にあたっては,ミックストロジットを用いたパラメトリックな手法に加えて,ノンパラメトリックな手法についても検討を行った.その結果,両者で概ね類似した傾向が見られるものの,事前に時間価値に関する分布形を仮定するパラメトリックな手法では,分析結果にバイアスが生じるリスクのあることが明らかとなった.
次に,移動中の活動が交通行動に与える影響については,業務交通を対象として理論的な時間価値導出を行った.ここでは,業務交通を分析する際に留意すべき点の1つとして,移動中の労働の有無が重要であることを示した.この背景には,近年の情報通信技術の急激な発展に伴い,スマートフォンやタブレットPCが普及し,移動中であってもさまざまな活動を行える環境が整いつつあり,こうした情報通信端末の普及は,業務に携わる者にとっても,職場における業務だけでなく,移動中の業務をも可能としつつある点が挙げられる.第三に,被雇用者,雇用者,および両者の共同意思決定を含めた10の時間配分モデルを定式化し,それらから交通時間節約価値を導出した.また,これらのモデルを拡張することにより,賃金率プラス公式とHensher公式を導出した.以上より,移動中に生産的な活動を行うブリーフケーストラベラーの場合においても交通行動の分析手法が開発され,交通時間価値に与える影響についても理論的分析に成功した.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

今年度は,情報通信技術が交通行動に与える影響を分析する上で,基礎となる理論と分析手法の基礎となるSP調査データを用いた交通行動モデルの推定を実施した.まず,基礎となる理論については,移動中の活動を明示的に考慮できるHensherモデルの理論的導出におそらく世界で始めて成功した.また,業務目的に特化して,交通時間節約価値を包括的に論じることにも成功した.これらは,いずれも学術的にも貢献度が大きいだけでなく,本研究の目標を達成する上でも,重要なステップを達成したと考えられる.一方で,分析技法に関して,Hensherモデルを用いた時間価値推定の基礎となる方法の確認を行った.これは,我が国では,SP調査データを用いた交通時間推定の経験に乏しいことから,必要なステップであったと考えられる.
以上より,本研究に関して現在までの達成度は高いものと判断できる.

Strategy for Future Research Activity

次年度は,Hensherモデルの活用を我が国の文脈で検討するための基礎データを収集する.Hensherモデルによれば,式中のパラメータも含めて,実証データに基づいて業務目的の交通時間節約価値を推定することが必要である.この場合,英国や北欧諸国の研究において試みられているような統合化アプローチによって推定することが必要となる.ここで,統合化アプローチとは,SP調査等によって,Hensherモデル内の未知パラメータを個別に被験者から直接得ることで,それらを組み合わせることにより,間接的に交通時間節約価値を得ようとする方法である.我が国ではまだ試みられたことがないことから,今年度のSP調査データの分析実績も考慮しながら,我が国の実証データを用いた推計を行うための基礎データを収集する.

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

大きく2つの用途で研究費を使用する予定である.第一は,今年度の研究成果の対外発信である.研究成果を国際学会で発表したり,国内外のジャーナルに投稿したりすることを予定しており,そのための旅費およびその他経費に研究費を使用する予定である.第二は,データ収集および基礎分析のための費用である.基礎データの収集にあたっては,データ入力等の人件費・謝金およびその他経費が必要となることから,これらに研究費を使用する.

  • Research Products

    (2 results)

All 2013

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] 業務目的の交通時間節約価値に関する基礎理論2013

    • Author(s)
      加藤浩徳
    • Journal Title

      土木学会論文集D3(土木計画学)

      Volume: Vol.69, No.2 Pages: 81-100

    • DOI

      10.2208 /jscejipm.69.81

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] A meta-analysis of the value of travel time savings incorporating GDP per capita: Evidence from Japanese passenger travels2013

    • Author(s)
      Kato, H., Tanishita, M., Abe, R.
    • Organizer
      Transportation Research Board 92nd Annual Meeting
    • Place of Presentation
      Washington D.C. (U.S.)
    • Year and Date
      20130113-20130117

URL: 

Published: 2014-07-24  

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