2013 Fiscal Year Research-status Report
既存コンクリート造建築物のストックマネジメント手法に関する研究
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24560701
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Research Institution | Aichi Institute of Technology |
Principal Investigator |
山田 和夫 愛知工業大学, 工学部, 教授 (10093080)
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Keywords | コンクリート / 内部探査 / 弾性波トモグラフィ法 / 衝撃弾性波法 / 外側耐震補強 / 住宅基礎ばり / 乾式工法 / 湿式工法 |
Research Abstract |
1.既存コンクリート造建築物の検査・診断方法に関する検討:(1)昨年度行った弾性波トモグラフィ法に関する研究では、検出用ピックアップの接着不良に起因した推定精度上の問題が明らかとなったため、今年度は、ピックアップの密着度を向上させるために、試験体表面に設置した鉄板を介して検出用ピックアップを磁石で固定する方法について検討を行い、今回採用したピックアップの接着方法により内部探査結果の推定精度が飛躍的に向上することが明らかとなった。(2)衝撃弾性波を利用した検査・診断方法に関する研究では、衝撃弾性波の入力位置と弾性波の検出位置との関係について検討を行い、衝撃弾性波の入力位置と検出位置および検出弾性波の最大加速度との関係のみでは、空隙の埋設深さと埋設位置を正確に推定することは難しいが、検出弾性波の卓越周波数とその振幅値に着目することによって、正確な空隙の埋設深さおよび埋設位置の推測が可能であるが明らかとなった。 2.既存コンクリート造建築物の耐震補強方法に関する検討:(1)乾式工法による住宅基礎ばりの外側耐震補強方法に関する研究では、補強材として厚さ20mm×2枚のガラス長繊維強化プラスチック発泡パネルを使用した乾式補強方法について検討を行い、在来の耐震補強方法と比較して施工性に優れていること、現規準仕様のRC基礎ばり以上の優れた耐荷性能を有することが確認できた。(2)湿式工法による住宅基礎ばりの外側耐震補強方法に関する研究では、プライマー処理された無筋住宅基礎ばりの外側表面に、補強材として補強筋が内在する厚さ50mmのモルタルパネルを使用した湿式補強方法について検討を行い、主筋継手の有無に関わらず部変形角が1/30までの範囲において、エネルギー吸収能力の優れた高靭性な履歴特性を示すことが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.既存コンクリート造建築物の検査・診断方法に関する検討 研究目的として掲げた既存コンクリート造建築物の変状に対する定量的な評価方法の確立を目的とした研究のうち、弾性波トモグラフィー法に関しては、研究実積で述べたように、昨年度の研究で明らかとなったピックアップの設置方法の問題点を改善することができた。また、今年度新たに行った衝撃弾性波法に関しては、定量的な内部探査が行える試験方法について検討を行い、試験方法を確立するうえでの留意事項を明らかにすることができ、次年度の研究に繋がる成果が得られたものと判断できる。 2.既存コンクリート造建築物の耐震補強方法に関する検討 研究目的として掲げた耐震補強方法に関しては、本年度は住宅基礎ばりを対象とした2種類の外側耐震補強方法について検討を行い、何れも現規準仕様のRC基礎ばり以上、かつ在来の耐震補強方法以上の性能が得られ、補強方法として有用であることが明らかとなり、当初の研究目標はほぼ達成できたものと判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
1.既存コンクリート造建築物の検査・診断方法に関する検討 日本非破壊検査協会において、2014年5月に纏まる「コンクリート構造物の弾性波による非破壊試験方法(第2部 衝撃弾性波法)」の改定版では、パルス電磁力法が研究成果の不足および今後検討の必要な事項が多くあることなどの理由で、規格に盛り込めなかったため、次年度はパルス電磁力法を試験方法として実用化するうえで解決しなければならない事項を調査・検討し、試験手順の標準化を目指す。 2.既存コンクリート造建築物の耐震補強方法に関する検討 研究業績で述べたように、平成25年度では、住宅基礎ばりを対象とした外側耐震補強方法の検討を行ったため、平成26年度に、建築物内部の架構に高靱性コンクリート製耐震壁を増設するアンカーレス耐震補強方法の検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は、新規に購入した電磁パルス発生装置以外は、既存の装置を使用すことによって研究を行うことができたこと、並びに試験体の作製についても既存の型枠や材料が使用できたため、当初の計画と比較して支出を抑えることができた。 昨年度および今年度の期間では、機械的な弾性波入力源である衝撃弾性波入力装置、電磁気的な弾性波入力装置、非接触型の弾性波入力装置、などの各種の非破壊試験装置を購入して一連の検討を行い、試験装置の基本的な特性について評価できたため、来年度は、試験の効率化を図るために、弾性波の入力・検出位置を自動走査する装置を購入して、弾性波法による内部探査結果が画像として出力できるようにするデータ処理方法について検討を行う。
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