2013 Fiscal Year Research-status Report
大工技術の言語化に関する研究―初期大工技術書に見られる語句の用例集作成を通して―
Project/Area Number |
24560787
|
Research Institution | Institute of Technologists |
Principal Investigator |
佐々木 昌孝 ものつくり大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (30367049)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
溝口 明則 名城大学, 理工学部, 教授 (20297336)
小岩 正樹 早稲田大学, 付置研究所, 助教 (20434285)
中川 武 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (30063770)
河津 優司 武蔵野大学, 環境学部, 教授 (50249041)
|
Keywords | 大工技術書 / 木割書 / 大工用語 / 職人 / 言語化 / 設計技術 / 用例集 / 建築生産 |
Research Abstract |
本研究は、(1)中世から近世にかけて著された大工技術書の内、古い事例である初期大工技術書を包括的に収集・読解し、そこに記述されている特殊な語句の意味を分析した上で用例集を作成し、(2)初期大工技術書の用例集作成と共に、現代の職人にもインタビューを行うことで、時代を超えた職人用語の言語化全般に対して、考察を行うものである。 用例集を作成する準備として、2013年度には基礎資料となる初期大工技術書の収集・読解を行い、かつ、そこから特殊な語句を抜き出す作業を行った。具体的には、対象資料から、軸部、組物、垂木関連の部材名、鳥居・神社関連の用語、書物の呼称、柱面の規定・表現方法を抜き出し、さらに、それらが各資料のどこに記されているかが分かる索引を付すと共に、定期的に開催している研究代表者・分担者・協力者が集る研究会において、抜き出した用語の意味や展開についての考察も行った。 また、現代の職人へのインタビューを行う準備として、全国の職人の情報を収集すると共に、初期大工技術書とも関わるインタビューのテーマや内容を考えた上で、インタビューをする予定の職人の選定を行った。さらに、職人への質問項目を研究会で考えると共に、配布する調査シートなどの作成も行った。 以上、2013年度は、当初の目的である「(1)用例集作成」のためのデータ収集の遂行、「(2)職人へのインタビュー」を行うための情報収集が、主たる実績である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、平成24年度に「基礎データの整備(史料の収集)」「基礎データの整備(史料の読解)」、平成25年度以降に「用語の抽出と分析、比較検討」「用例集の作成と研究論文の執筆」を行うというものであった。史料からの語彙抽出と分析作業の量が当初予想を上回るものであったため、平成25年度に研究協力者を増員し、現時点までに基礎データの整備はともに完了した。語彙抽出と分析のほか、史料の比較検討も終えた。その結果、大工職人へのインタビュー実施の時期が平成26年度に延期となったものの、用例集作成と論文執筆とあわせて、インタビューの準備も十分に整い、研究計画自体は最終年度に向けておおむね順調に進展した。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究最終年度にあたって、研究計画の変更、研究遂行上の問題点はない。 本年度(平成25年度)まで研究会で進めてきた初期大工技術書からの用語の抽出と整理の成果に基づいて本年度は現職の大工へのインタビューを行う。インタビュー対象は、現段階で埼玉・山梨・三重などで活動している大工を予定しており、すでに埼玉の大工については平成26年5月に聞き取りを実施した。このインタビューの内容は本補助金の報告書の他に雑誌『住宅建築』への掲載が決まっており、一般向けへの成果の公表も行う。 また、最終成果報告に向けて、これまでの研究会の成果を改めて精査し、今後の研究に資する形に整え用例集原稿を作成する。これにインタビュー内容をまとめたものを加えて最終報告書を作成する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本課題初年度の平成24年度より、諸史料からの語彙抽出と分析作業を行っているが、複数の史料から用語を分類して抽出するという作業の量が当初予想を上回るものであったため、平成25年度に入り、研究協力者を増員し、現時点までに基礎データの整備はともに完了した。 その結果、作業を担当した大学院生への謝金の支出が、申請時よりも増加となったが、平成24年度と平成25年度に実施計画であった大工職人への聞き取り調査を、最終年度である平成26年度にまとめて実施することとなり、ゆえに、聞き取り調査に関わる旅費と謝金の支出も次年度への使用となった。 当初計画では、平成24年度から平成26年度の三カ年にわたり、毎年数名の建築大工職人から聞き取り調査を実施する予定であったものが、平成26年度にまとめて実施することとなったので、その経費として使用する。また、聞き取り調査のほか、課題最終年度となる平成26年度には、用例集作成と論文執筆の編集作業を行うので、その作業協力者への謝金として使用する計画である。
|
Research Products
(2 results)