2014 Fiscal Year Research-status Report
北海道におけるアイヌ文化成立期以前の建築活動に関する基礎的研究
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24560796
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Research Institution | History Museum of Hokkaido |
Principal Investigator |
小林 孝二 北海道開拓記念館, 学芸部, 学芸員 (80142090)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 先史時代の建築文化 / ニブフの建築文化 / 樺太アイヌの建築文化 / 夏の家 / 冬の家 / 竪穴住居 / トイチセ / 竪穴 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、北海道の建築史・住宅史を「通史」として捉えることを可能とするための基礎的研究である。具体的には、研究代表者が進めてきた近世期以前のアイヌと和人の建築活動に関する研究の実績を基礎として、アイヌ文化期以前の先史文化時代(擦文文化・続縄文文化・縄文文化各期)の建築活動に関する資料を包括的に集成・整理し、これまでの研究蓄積との総合化を図り、北海道の建築史・住宅史を通史として捉えるための基礎的資料を構築することを目的として研究を進めている。 平成26年度(当該年度)の研究実績の概要 1.研究初年度(平成24年度)から実施している先史文化にかかわる発掘報告書、既往研究にかかわる資料を引き続き収集し整理分析を進めた。 2.平成25年度に実施したロシア連邦サハリン州においておこなった先住民族の建築文化にかかわる調査によって得られた情報の整理、具体的には実測調査を元に、ニブフの冬の家(竪穴住居)、夏の家(高床住居)、クマ檻。サハリンアイヌの夏の家の実測復元図の作成、および、研究代表者が所属する博物館に所在する北海道アイヌの住居の実測復元図を作成した。 3.既往文献の中から竪穴住居の居住経験者を対象とする調査報告の分析。 4.上記の2・3を統合して実際に建築され居住されたことが確実な竪穴住居の建築工程考察、図面化を実施した。このことによって、少なくとも明治中期まで建設され使用された竪穴住居の実像を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究を進めるに当たって設定した年度別の研究実施計画に沿った形で研究を進めている。 1.「発掘報告書」については、研究蓄積が膨大であることから、引き続きデータの抽出を進めている。 2.特に竪穴住居に関する実証的研究が行われた近代~昭和戦前期の既往研究を悉皆的に集成し、分析を行った。 3.北海道・サハリン島における実測調査結果について、比較研究のため図面化をおこない、分析を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度(研究4年次)については、以下の項目を並行して進めたい。 1.引き続き発掘報告書、既往研究などの収集を進め、分析をすすめる。 2.北東アジア先住民族の建築文化に関する資料収集を更に進め、現地調査を実施する。 3.上記、1・2の調査を踏まえて、先史住居の復元的考察、具体的には建築工程と建築技術を復元的に考察する。
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Causes of Carryover |
当初、遺跡調査.資料所在調査(旅費等)などを予定していたが、研究代表者の病気(白内障、腰部脊柱管狭窄症)による手術、治療、療養のため、特に旅費を伴う調査が数ヶ月間困難となった(現在は回復している)。このため、職場において作業可能な研究に重点を置き、これまで蓄積した文献・資料の整理分析を中心に研究を進めた。このことにより、旅費を中心に次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
体調が回復したことから、今年度は、昨年度予定していた旅費等を活用して、未調査部分の遺跡調査、資料所在調査も含めて調査を進める。
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Research Products
(1 results)