2014 Fiscal Year Annual Research Report
バルクナノ界面と空孔を内包する層状酸化物熱電材料の物性面からの新規材料設計
Project/Area Number |
24560825
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉矢 真人 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00399601)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 層状酸化物 / 熱電材料 / 第一原理計算 / 分子動力学法 / 構造安定性 / 熱伝導度 / 界面 / 格子欠陥 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度、前年度に引き続き他材料にも応用可能な例として採りあげた3クラスの層状構造酸化物のうち1クラスを代表するTiO2-xについて、更に第一原理計算による更なる詳細な網羅的計算を行った結果、Magneli構造へ不純物置換する際には、同様の原子配置を有する材料、ルチル型TiO2かコランダム型Ti2O3のいずれへ置換するかの一般理解から逸脱する例を見出した。例えば+3価である陽イオンはバルクTiO2よりもバルクTi2O3への置換が容易であるものの、Magneli構造中のTi2O3層よりもTiO2層へ選択的に置換偏析する例があることが分かり、不純物置換による熱伝導度の大きな減少そして熱電変換性能指数の向上が、バルク固体化学の枠内を越えた可能性を有することが見出された。またこのような現象がMagneli構造中で実現するメカニズムも明らかにすることに成功し、一般的な層状構造材料への応用が可能になった。 更に他の2クラスの層状構造材料、AxCoO2、A3Co4O9では、前年度までの詳細な解析により層間の相互作用を通じた熱伝導抑制が熱電変換性能指数向上に大きく寄与していることが分かっていたが、各クラス個別の理解に留まっていた。しかしながら、原子振動の動的計算並びに統計科学的手法を用いた詳細解析により、それぞれのクラスにおける熱伝導抑制機構の更なる詳細が明らかとなり、これら2クラスの材料の熱伝導抑制機構を包括的に理解することが可能になった。これにより、電子・フォノンへの選択的制御による熱電変換効率向上を電子・フォノン伝導の選択的制御と言う観点から一般化することが出来、表題に掲げた物性面からのバルクナノ界面と点欠陥を内包する層状熱電変換材料の一般的材料設計指針が得られた。
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Research Products
(20 results)