2014 Fiscal Year Annual Research Report
難剥離性極薄アパタイト皮膜チタン材料製造のための新表面処理技術の確立
Project/Area Number |
24560841
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
大津 直史 北見工業大学, 工学部, 准教授 (10400409)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 医療用インプラント材料 / 表面処理 / チタン / ハイドロキシアパタイト被膜 / 熱化学処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成24年度および25年度の研究では、本研究課題における表面処理技術で極薄アパタイト被膜をチタン材料表面に形成するための最適処理条件の検討をおこなってきた。平成26年度は、これまでの研究成果を踏まえて、適切な表面処理条件を用いて作製した極薄アパタイト被膜を有するチタン材料の体安全性および骨適合性を調べ、本表面処理技術で作製した材料の医療材料への適用可能性を検討した。 ハイドロキシアパタイト(HAp; Ca10(PO4)6(OH)2)粉末に対して水を混練することでスラリー状処理剤を調整し、この処理剤の中にチタン材料を完全に埋没させ,そのまま汎用電気炉などを用いて873 Kで2時間保持した。その後、材料を処理剤から取り出し,蒸留水で洗浄した後に大気中で乾燥させることで試料を作製した。生体安全性を確かめるために、スラリー処理チタン材料表面に、骨芽細胞様細胞MC3T3E-1を播種し、24時間後および72時間後での生細胞数を計数した。さらに骨適合性を評価するために、試料をラット大腿骨に埋入し、試料周囲における新生骨の形成を評価した。 スラリー処理材料表面における生細胞数は、いずれの時間においても未処理材料とほぼ同じ結果であり、統計学的有意差もなかった。すなわち、スラリー処理したチタン材料は、未処理材料と同等の生体安全性を持っていることがわかった。さらに、ラットを用いた動物実験によって、スラリー処理を施したチタン周囲では、未処理チタンと比較して、迅速に新生骨を形成できることを確認した。
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