2012 Fiscal Year Research-status Report
薄膜アクチュエータ用磁性材料の特性制御に関する研究
Project/Area Number |
24560859
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
松村 義人 東海大学, 工学部, 教授 (60239085)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 薄膜アクチュエータ / 磁性材料 / イオン衝撃 / 過剰エネルギー / スパッタ |
Research Abstract |
本研究計画は磁性材料を中心とした薄膜アクチュエータ用材料の特性におよぼす高エネルギー粒子衝撃の効果を明らかにすることにより、マイクロアクチュエータやセンサデバイスに最適化された薄膜用磁性材料を創り出そうというものである。 H24年度においては、成膜時にイオン衝撃による大きな過剰エネルギーを投入することにより、新規の薄膜アクチュエータ用磁性材料創製の可能性を探ることを研究目的としている“1.新規薄膜アクチュエータ用磁性材料の検討”、および入射粒子の種類と粒子の持つ運動量の大きさを用いたイオン衝撃パラメータPiを用いて、内部応力を変化させ、薄膜アクチュエータ用磁性材料の特性制御を行う手法を確立することを研究目的としている“2.薄膜アクチュエータ用磁性材料の特性制御”、に関する研究を行った。 新規薄膜アクチュエータ用磁性材料の検討に関しては、現有する二元蒸着式イオンプレーティング装置および現有する片持ち梁変位測定装置改造することにより、低磁場での磁歪特性を中心に評価した。その際に得られた知見より、蒸着粒子の持つ過剰エネルギーと磁歪特性の関係を明らかにし、Fe系固溶合金薄膜アクチュエータの特性制御法について検討した。薄膜アクチュエータ用磁性材料の特性制御に関しては本研究計画において申請したAE社製 1 kW DCスパッタ電源と、現有するDCマグネトロンスパッタ装置を用いてイオン衝撃パラメータPiと成膜後の薄膜に生じる内部応力の関係が磁歪材料のみではなく、他の金属材料でも成立するかを検証した。それらの成果については、日本金属学会誌はじめ学術誌や論文集等に公表した。また、電磁力関連のダイナミクスシンポジウム、日本金属学会講演大会等の国内学会において発表を行った。さらに、ACTUATOR2012およびISPLASMA2013の国際会議において発表を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規薄膜アクチュエータ用磁性材料の検討に関しては、蒸着粒子の持つ過剰エネルギーを大きくすることにより溶解度が増加することを明らかにし、新規のFe系固溶合金薄膜アクチュエータ可能性を見出した。薄膜アクチュエータ用磁性材料の特性制御に関しては本研究計画において申請したAE社製 1 kW DCスパッタ電源と、現有するDCマグネトロンスパッタ装置を用いてイオン衝撃パラメータPiと成膜後の薄膜に生じる内部応力の関係が磁歪材料のみではなく、他の金属材料でも成立することを明らかにした。 それらの成果については、日本金属学会誌等に2報の学術論文および5報のProceedingsを公表した。また、電磁力関連のダイナミクスシンポジウムで2件、や日本金属学会講演大会秋季大会において2件、計4件の国内学会の発表を行った。さらに、13th International Conference on New Actuators (ACTUATOR2012)において3件、5th Int. Symp. on Advanced Plasma Sci. and its Application of Nitride and Nanomaterials (ISPLASMA2013)において2件、計5件の国際会議における発表を行った。 以上からおおむね順調に進展していると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
Kr,XeのようなArと異なるスパッタガスにおいてもPiが同じ場合、作製された磁歪薄膜の磁歪特性が同じになる課を確認する。またこのイオン衝撃パラメータPiと成膜後の薄膜に生じる内部応力の関係が磁歪材料のみではなく他の磁性材料でも成立するかを検証する。本研究計画で申請したAE社製 1 kW DCスパッタ電源を現有するDCマグネトロンスパッタ装置に取り付けることによりNi2MnGa磁気形状記憶材料の薄膜の作製を試みる。それらの成果については電磁力関連のダイナミクスシンポジウム、や日本金属学会講演大会等における国内学会および、2013 MRS Spring Meeting & Exhibit等において研究成果を発表する。 イオンプレーティング法における蒸着時の大きな過剰エネルギーによる固溶限の拡張の理由として、大きな運動エネルギーを持つ蒸着粒子イオンイオン衝撃が格子歪として薄膜中に蓄えられていると考えられる。この点に関して成膜時のラングミュアプローブによるプラズマ測定より固溶限の拡張や固溶した相を持たない合金薄膜形成におけるイオン衝撃の影響を明らかにする。これらの成果に関しては、金属学会や他の国内学会および国際会議において公表を予定している。また、日本金属学会誌等の学術雑誌に投稿の予定である。 以上を総括して報告書を作成する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品費として\550,000を予定している。内訳はデータロガーに\190,000のほか基板材料とう薄膜作製用材料として360,000を予定している。国内旅費および外国旅費として\200,000を予定している。その他の費用として\150,000、内訳は論文別刷代として\50,000、機器分析の外注費として100,000を予定している。 また、米国サンフランシスコにおける2013MRS Spring Mettingの外国旅費支出において、航空便の関係により、出発地が成田から羽田になったため、国内交通費分に1,640円の差異が生じた。
|