2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24560872
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
鈴木 徹也 茨城大学, 工学部, 教授 (70261740)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 耐酸化性 / 表面被覆 |
Research Abstract |
平成24年度は鉄基板の被覆のための処理材としてTi,AlおよびFeの粉末を用いてその混合比を変化させて表面の元素分布の制御を行った。被覆材の組成比はTi-4mol%, Al-16mol%, Fe-80mol%のものとTi-10mol%, Al-40mol%, Fe-50mol%およびTi-16mol%, Al-64mol%, Fe-20mol%の3種類で実験を試みた。レーザー加熱の条件を良好な被覆が得られるよう調整し、この3種類ともに被覆処理に成功した。組成分析の結果Ti-4mol%, Al-16mol%, Fe-80mol%被覆材を用いた被覆層のAl濃度は3~6%、Ti-10mol%, Al-40mol%, Fe-50mol%被覆材では5~12%、Ti-16mol%, Al-64mol%, Fe-20mol%被覆材では12~20%と被覆層の組成に依存してAl濃度が変化した。以上より被覆材の組成をコントロールすることによる被覆層の組成制御の可能性を見出せた。しかしながら被覆層の組成の分布に幅があり必ずしも均一に被覆できている状態ではないことが問題点として残った。このため、レーザー加熱を一度ではなく2度照射して被覆層の元素の拡散を促進させる処理を試みた。その結果、被覆層の濃度分布は改善されそれぞれプラスマイナス2%程度の広がりにとどめることができた。一度の加熱では処理材の粉末の粒径の影響が大きく、Alは3μm以下の粒径の素材であるが、Tiは25μm、Feは50μmの素材を用いているため、被覆層の組成の均一化が難しかったと考えられる。2度目の照射により不均一であった元素分布が相互拡散により均一化したと考えられる。しかしながら拡散により基盤のFeとの相互拡散も発生し、全体として被覆層のAl濃度が低下したため今後耐酸化試験等により被覆層の性能を確認する必要があることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の目的は被覆材の元素濃度のコントロールであった。被覆材の組成を変化させて被覆を試みたところプラスマイナス2%程度に組成の均一性を保ちつつアルミニウムの元素濃度を変化させることができた。この点において被覆材の選択による被覆層の元素濃度制御の可能性は示せたと考える。しかしながら、加熱処理を2回施す必要があることなど含め、求めるアルミニウム濃度に制御するような条件の導出には至っておらず今後とも検討が必要と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の成果により被覆材の組成コントロールすることで被覆層の元素分布を制御できる可能性が見いだせた。しかしながら、被覆層の組成の均一性を保つためには2度の加熱など工夫を必要とすることも課題として浮かび上がった。平成25年度以降ではより簡便に1度の加熱で均一な被覆層を得るような条件を模索するとともに酸化試験等の評価試験を導入する予定である。また、耐酸化性に関してはTi元素の存在は利益であることが考えにくいのでTi元素を含まないような被覆材を用いた被覆処理についても検討していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初計画の予定通り試料研磨用消耗品、レーザー加工消耗品、成果発表旅費、アルバイトのための謝金、分析費として研究費を使用する予定である。
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