2012 Fiscal Year Research-status Report
急速通電加熱を利用した金型の局所焼入れ法の実現に向けた開発研究
Project/Area Number |
24560877
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
牧 清二郎 三重大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20124315)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 熱処理 / 焼入れ / 通電加熱 / 金型 / 火炎焼入れ鋼 |
Research Abstract |
プレス成形用金型では局所的に耐摩耗性が要求されるものが多い。金型全体を焼入れすれば要求を満たせるが,経済的とは言えない。既存の局所焼入れ法として,火炎焼入れやレーザー焼入れがある。前者は設備コストは低いが熟練した技術が必要であり,「若者の理科離れ,ものづくり離れ」による後継者不足で,技術の継承もおぼつかない。一方,後者は熟練した技術は必要ないが設備コストが高く,中小の金型製造企業では導入に二の足が踏まれる。このような背景から,熟練した技術を必要とせず,設備投資も安価にすむ焼入れ技術の開発が望まれている。これに応え得る一つの方法として,急速通電加熱を利用した局所焼入れ法が考えられる。本研究は本法の実現を目的とするものである。本年度は,空冷でも焼入れが可能なダイス鋼SKD11を実験材料に,通電電圧と電極接触圧力をパラメータとした時間制御による通電局所焼入れ実験を行い,スパーク発生限界を明らかにするとともに安定した焼入れが行われる通電条件を明らかにした。また,通電加熱での電流値の計測データをもとに,電流値の2乗の時間積分値と焼入れ状態の関係を調べ,電流値の2乗の時間積分値による加熱温度の制御の有効性が示唆された。これは,次年度に試作予定である安定した加熱実現のための通電制御装置の設計に対して,きわめて有用な知見でもある。上記のほか,次年度に試作予定の連続処理を対象とした実験装置を前倒しにて製作するとともに,本年度の研究に先行して実施した研究の成果をまとめて,国際会議AMPT2012に“Local Hardening of Flame Hardening Steel Using Rapid Resistance Heating”と題して発表した。また,第20回機械材料・機械加工技術講演会M&P2012および日本機械学会東海支部第62期総会講演会において成果を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
次年度(平成25年度)の計画で試作予定の線状や面状の焼入れ処理が可能な実験装置(ピッチの最小刻み幅0.5mm)を前倒しにて製作し,単発処理による硬化特性の調査のみならず,連続処理による硬化特性の調査が可能となった。また,安定した焼入れ実現のための安定した加熱の実現に対して,電流値の2乗の時間積分値による通電制御の有効性が確認でき,加熱温度の制御装置の試作に対して有用な設計指針となる知見が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に沿って,通電加熱によるオーステナイト安定温度域への安定した加熱のための電流値の2乗の時間積分値による制御回路を試作し,これを通電制御装置に組み込み,安定した局所焼入れが可能か実証試験を行う。また,平成24年度に前倒しで製作した時間による通電制御での連続局所焼入れ装置を,電流値の2乗の時間積分値による制御でも利用できるように改良し,連続処理での局所焼入れに対する実証試験を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額が生じたのは,当初計画より赤外線カメラの購入代金が少なく済んだためであり,次年度に製作予定の実験装置を前倒しにて製作したが消化できなかった。次年度は,当初の計画に沿って,前倒しにて製作した装置の改良を含め,実験研究を遂行する。経費は次年度の経費と合わせ,計測データ収録装置の整備,充実に充てるとともに,並行して行う電極接触圧力の通電加熱特性への影響把握のためのシミュレーション実施に充てる。
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