2013 Fiscal Year Research-status Report
急速通電加熱を利用した金型の局所焼入れ法の実現に向けた開発研究
Project/Area Number |
24560877
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
牧 清二郎 三重大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20124315)
|
Keywords | 熱処理 / 焼入れ / 局所焼入れ / 通電加熱 / 金型 / ダイス鋼 / 火炎焼入れ鋼 |
Research Abstract |
通電加熱を利用する局所焼入れ法は、加熱を必要とする材料加工への通電加熱の応用研究の中で見出された電極接触部での特異な加熱現象に注目して考案された方法である。前年度(H24年度)において、空冷でも焼入れが可能な冷間ダイス鋼を実験材料に用い、適当な通電条件の設定によって焼入れが可能なことを確認した。本焼入れ法において、用いる加熱用電源が定電流制御機能を有するものであれば、処理位置の移動によって電気的負荷に変動があっても通電電流が一定に保たれ、適当な通電時間の設定により常に安定した加熱、そして焼入れが可能であるが、そのような機能を持たない交流電源を加熱用電源として用いる場合を考えると、処理位置の移動によって電気的負荷が変動すると、加熱温度を一定に保つことはできず、安定した焼入れを実現することができない。そこで、この問題を解決するため、本年度(H25年度)は、前年度の実験からもその有効性が示唆された、電流の2乗の時間積分値による入熱量制御について、制御装置を試作し、定電流制御機能を有さない交流電源を用いても安定した加熱が実現できるか、実験により調べた。結果として、電気的負荷の変動が小さく、通電時間が予め想定する時間の1割前後の変化におさまれば、安定した加熱が実現でき、安定した焼入れが可能であることがわかった。そこで、これに関連して、2種類の実用火炎焼入れ鋼(HMD5、SX105V)について、想定する通電時間1秒で安定した焼入れが実現できる電流の2乗の時間積分値を実験により調べた。結果は、電極サイズと電極押付け圧力が同じ条件であれば3者には大差を認めなかった。これらの研究成果は、第21回機械材料・材料加工技術講演会(M&P2013)において発表するとともに、次年度(H26年度)に開催予定の材料と加工技術の進歩に関する国際会議AMPT2014において発表すべく、講演の申込みを行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度の実験結果から有効と示唆された、入熱量制御に対する電流の2乗の時間積分値による通電制御の有効性が、試作した制御装置を用いた本年度の実験によって確認できた。また、次年度(H26年度)に計画されている点焼入れの連続化によって線状および面状の焼入れ処理が可能か、これを調査するための実験装置は製作済みで、その動作確認も終わっており、本格的な実験に使用できる状態にある。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に沿って、前年度に前倒しで試作した線状焼入れや面状焼入れの実験が可能な実験装置を用いて、実際に線状焼入れや面状焼入れの実験を行い、通電加熱条件との関係で焼入れ状態の調査を行う。なお電極の材料としては、当初の計画では、クロム銅、アルミナ分散強化銅、タングステン銅について調査することを計画していたが、耐久性を考慮してタングステン銅のみに絞って、上記の調査を行うことにする。また、当初の計画にはなかったが、本焼入れ法の具体的応用の一つとして、パンチホールの局所焼入れへの応用を試みる。研究成果の公表としては、本年度にて得られた研究成果を、アラブ首長国連邦ドバイで開催予定の第17回材料と加工技術の進歩に関する国際会議AMPT2014において発表するとともに、次年度の研究で得られた成果は、逐次、国内の関連学協会にて発表する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額が生じたのは、当初の計画における国際会議への参加ができなくなったためである。 次年度の研究費については、主に、当初の計画に沿って、本年度の研究成果を、アラブ首長国連邦ドバイで開催される第17回材料と加工技術の進歩に関する国際会議AMPT2014にて発表するための参加費、旅費に充てるとともに、次年度の研究成果を国内の関連学協会において、逐次、発表するため参加費、旅費に充てる。また、前年度の未使用金は当初の計画にはないが、本焼入れ法の具体的応用例の一つとして考えられるパンチホールの局所焼入れへの応用を試みるための装置の改修等の経費に充てる予定にしている。
|