2013 Fiscal Year Research-status Report
液相成長法によるビスマステルライド系熱電変換材料の性能向上とそのメカニズムの解明
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24560884
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
北川 裕之 島根大学, 総合理工学研究科(研究院), 准教授 (00325044)
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Keywords | 熱電変換材料 / キャリア濃度 / 電気伝導率 / ゼーベック係数 / 結晶配向 |
Research Abstract |
高性能方向に優先方位を持つBi_2Te_3系熱電材料の簡便な作製手法としてスライドボートを用いた液相成長法を検討した。本年度は①p型Bi_<0.5>Sb_<1.5>Te<3>の不純物添加によるキャリア濃度制御、②Cu添加n型Bi_2Te_<2.85>Se_<0.15>の作製および物性評価を中心に研究を行った。 p型Bi_<0.5>Sb_<1.5>Te<3>については、昨年度、揮発成分であるTeのを補償し、キャリア濃度を減少させることで室温で高出力因子を達成した。本年度はPb, SnをBi,Sbと置換することでキャリア濃度を増加させることを試みた。その結果、室温でのキャリア(正孔) 濃度はPb, Sn 添加量に依存して増加すること、Pb, Sn 添加試料とも,高いキャリア濃度のため,500K 付近からは無添加試料より高い出力因子が得られること、Pb 添加試料は, Sn 添加試料と比較して不純物添加による移動度の減少が少なく、大きな値を示すことが明らかになった。電気抵抗率が小さいため、熱伝導率の増加も予想され、高性能指数にはならないと予想されるが、本研究のプロセスで、比較的広い範囲で動作温度を制御可能であることが示された。 Cu添加n型Bi_2Te_<2.85>Se_<0.15>については、p型と同様、簡便な手法で高性能方向に配向した材料が得られた。Cuはドナー不純物として働きCu_<0.02>Bi_2Te_<2.85>Se_<0.15>なる組成において4×10^<-3>W/K^2mを超える大きな出力因子が得られた。この値は再現良く得られること、時間経過および300℃までの温度サイクルによる性能劣化がないこと等、実際の応用に対して好ましい性質を有することも確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究ではスライドボートを用いた液相成長法により、高性能方向へ配向したビスマステルル系材料の作製と作製手法の最適化を試みてきた。これまでの研究で、p型,n型材両方において4×10^<-3>W/K^2mを超える出力因子を得ており、この性能が組織、結晶配向と関連していることが明らかになってきている。n型材料に関しては、組成、ドーピング元素などさらに検討する余地が残されているが、概ね予定通りに進行していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究のプロセスによりn型Bi_2Te_<2.85>Se_<0.15>については、Cu添加により大きな出力因子が得られることが示されたが、n型材料に関しては、Te、Seの組成比やドーピング元素の種類など多くのパラメータがあり、検討する必要がある。Br添加Bi_2Te_<2.85>Se_<0.15>あるいはBi_2Te_<3-x>Se<x>などの作製および物性評価を行う予定である。
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Research Products
(3 results)