2014 Fiscal Year Annual Research Report
クリーンで持続可能な水素製造プロセスの実用化に必要な高効率水素分離膜の開発
Project/Area Number |
24560928
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
田中 一宏 山口大学, 理工学研究科, 准教授 (30188289)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊切 泉 山口大学, 理工学研究科, 准教授 (20618805)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 水素製造 / 水素分離膜 / ポリイミド膜 / 炭化膜 / 光触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では水素と酸素を室温付近で高効率分離するための分離膜の開発を行った。目標性能はモデル計算により得られた必要性能の約2倍とした。具体的には分離係数が100、水素透過速度が100×10のマイナス10乗[mol/(m2 s Pa)]である。分離膜の透過速度は膜厚に反比例するが分離係数は膜厚に依存しない。従って、目標を超える性能を示す分離膜の作製は目標値を超す分離係数を示す膜素材を欠陥のない薄膜に成形することになる。研究計画で示した候補素材のうち、高密度架橋高分子薄膜(架橋薄膜)と、別の高分子膜を炭素化することで得られる炭素薄膜の作製を本年度は検討した。1μmの薄膜は強度の点から多孔質支持体の上に作製する必要がある。これまでの結果を受け、細孔径150nmの支持体を用いた。 架橋薄膜の分離係数は77で目標に近づくことができたが、炭素薄膜は26と低かった。水素透過速度は上記の単位で架橋薄膜が6、炭素薄膜が35で、これも目標を下回った。 架橋薄膜については架橋前の段階では欠陥の無い2μmの薄膜の作製に成功した。しかし、架橋により分離係数が大きく増加した薄膜と増加しなかった薄膜の二通りの結果が得られた。分離係数が増加した膜で最も薄い膜の膜厚は5μmであった。架橋のために用いた紫外線照射装置の光強度に分布があることが原因と考えられた。現在、光源の光強度分布を測定し照射条件を検討している。 炭素薄膜については分離係数が大きく増加する炭化温度である800℃を超える温度での焼成を行うと炭素収率が極端に低下するという問題に直面し、結果として800℃以下での炭素化しかできなかった。その後、原因が合成条件にあることを突き止めた。今後、800℃を超える温度での炭素化も可能になると考えられる。 このように、研究期間内に目標を超えることはできなかったが、高密度架橋高分子薄膜と炭素膜の2種類において、目標を超える性能を示す分離膜の作製条件を絞り込むことができた。
|
Research Products
(1 results)