2012 Fiscal Year Research-status Report
一流体スプレーノズルを用いたアクリルアミド高分子両性電解質液噴霧法による空気浄化
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24560930
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
並木 則和 工学院大学, 工学部, 教授 (40262555)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鍵 直樹 東京工業大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (20345383)
徳永 健 工学院大学, 基礎・教養教育部門, 准教授 (30467873)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 高分子両性電解質 / 吸着 / 排ガス処理 / 揮発性有機化合物 / 液噴霧法 |
Research Abstract |
初年度では,3つの研究担当の立ち上げと評価装置の立ち上げ,工場での予備実測を行った。最初に,構成員全員により今後3年間の詳細な研究計画および研究分担の再確認,ホームページの掲載内容等について討議した。 まず,担当I(並木)では,送風機を備えた試験風洞(工学院大所有備品)を,一流体スプレーノズルを設置し,接地したノズルの下流に対向リング電極を配置して高圧電源に接続し,静電スプレーの効果を調べた。その結果,正電圧印加で最大2.6倍,負電圧で1.6倍の除去性能の向上が見られた。そこで,静電スプレーによりどの程度微粒化が進行しているかを調べるため,位相ドップラー式粒子解析器(外部機関所有)を用いて調べた。その結果,正極で20%,負極で15%の平均粒径(ザウター径)減少が見られ,極性による除去性能の傾向と液滴の微粒化の傾向が一致することが示された。 次に,担当II(鍵・守田)では,過去に実測を行った工場で実測を再度行った。二流体ノズルを用いたAPA噴霧処理装置の前後でガスバッグを用いて排ガスのサンプリングを行った。その後,試料排ガスのVOCをTENAXおよびDNPH捕集管に捕集してGC/MS(東京工業大学所有備品)を用いてVOC成分の分析定量を行った。その結果,全体としては過去に行った結果に比べて,VOC全体の除去性能が低下していることが明らかになったが,その原因は現在のところ不明である。 担当III(徳永)では,液滴の運動方程式から軌跡を求める簡易な数値計算プログラムを単純な差分法から4次精度のRunge-Kutta法に切り替えて計算を行ったところ,初期の粒子速度が急激に変化する部分で若干の差が見られたが,軌跡全体としては大きな差は見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,静電スプレーを一流体スプレーノズルに適用することによる除去性能の向上に特化して実験装置を改良したことで,実験装置の改良・立ち上げがスムーズに進んだ。また,微粒化の程度を測定するために,外部の機関が有している測定装置を借用ししたことで迅速に評価が行えた。また,実測についても,過去に実施した工場の中で測定に理解のある担当者がいる工場で行えたことで,予備的なデータであるがデータを蓄積でした。 また,粒子軌跡の数値計算プログラムの改良についても順調に行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目の次年度では,一流体スプレーノズルを用いたVOC処理システムのプロトタイプとなる装置の仕様を決定して行く方向で研究を進めて行く。 さらに,液滴の蒸発等を考慮した噴霧液滴の運動に関する数値計算について,より迅速に進めるため市販の数値流体解析ソフトウェアの使用を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
静電スプレー方式で一流体スプレーの除去性能の向上がある程度図られたものの,実際の装置に組み込む場合にはスプレーノズルの部分の構造が複雑になってしまう欠点を有する。そこで,次年度では配管の防錆やスケール除去に用いられている変調電磁場(MEF)法の適用を試みる。MEF法は,高周波の交流を配管に巻いたコイルに流して周期的な電磁場を形成することにより,配管内の流体中の粒子の凝集や溶質の会合を解消する効果があるとされている。具体的には,一流体ノズルに液を供給する配管にコイルを巻き,高周波をかける前と後でトルエン蒸気の除去性能を評価する。除去性能の向上が見られた場合には,コイルに流す電流値を変化させて同様に評価を行い,最適条件を見つける。さらに,二流体ノズルにも同様に適用を試みる。 次に,蒸発に伴う液滴径の変化を考慮した液滴の軌跡計算については,市販のCFDソフトウェアの適用を試みる。まず,昨年度測定した液滴径分布および液滴の速度分布のデータに一致するように,静止流体中を鉛直下向きに噴霧した場合の噴出速度や初期液滴径を決定する。その後,性能評価装置を対象にノズルを1ヶを円筒ダクト内に噴霧する場合についてメッシュを作成し,先ほど求めたパラメータを入れて計算を行う。そして,ダクト内風速による噴霧液滴の飛散特性を調べ,実験結果と比較する。 一方実測では,MEF法が実験室レベルで有効性が確認された場合には,昨年度実測を行った工場の一部の配管系に適用し,適用前後でVOCの除去性能の評価を行う。
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