2012 Fiscal Year Research-status Report
新しい超音速乱流変動計測法の開発と超音速乱流機構の解明に関する研究
Project/Area Number |
24560976
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
坂上 昇史 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70244655)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新井 隆景 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10175945)
西岡 通男 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 客員研究員 (60081444)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 航空宇宙流体力学 / 超音速乱流機構 / 超音速乱流境界層 / 超音速混合遷移 / 熱線流速計 / 定量化シュリーレン法 / 3次元PIV |
Research Abstract |
1.熱線時定数の計測:超音速乱流場の計測で必須の300 kHzを超す周波数域の速度変動を定温度型熱線流速計で計測する場合,回路の発振という問題に直面する.熱慣性補正用の位相補償回路を付加した定電圧型熱線流速計は500 kHzの応答帯域を持つが,変動計測時に熱線時定数を計測し回路時定数とのずれを補正する必要がある.熱線時定数は,熱線の熱容量因子,加熱度および加熱電流で表され,加熱度と加熱電流は変動計測時に得られる.本研究では,種々の条件で計測した熱線時定数から熱容量因子を求め,その温度依存性について調べた.その結果,熱容量因子は熱線温度のみの関数として表され,加熱度の関数として近似することで熱線時定数を推定できることを明らかにした. 2.PIV計測の校正法:PIVは非接触で計測断面内の3次元速度ベクトル場を一度に得られるという利点があり,乱流混合場などの構造解析に有用な計測手法である.しかし,トレーサ粒子の時定数が十分小さくない場合,特に超音速流では膨張波などの定常現象であっても加速度の大きさによっては粒子が流れに追従せず誤差の原因となる.本研究では,乱れを含む既知の流れ場を用いた簡便な精度検証法として超音速乱流境界層を用いる方法を提案し,その有効性を確認し,平均流だけでなく変動計測の精度について明らかにした. 3.超音速乱流混合場の計測:超音速混合場における縦渦の役割は,大規模渦運動により主流の空気を縦渦内に取り込み,その崩壊に伴って生じる小スケールの乱流渦により乱流混合状態に導くことである.本研究では,縦渦の不安定性や崩壊特性に関する知識を得るため,超音速風洞中に設置した縦渦導入デバイスによって縦渦を形成し,種々の主流マッハ数における超音速縦渦の崩壊過程を定量化シュリーレン法によってスペクトル計測し,縦渦の導入によって生じる小スケール変動のマッハ数依存性を明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
熱線流速計を用いた変動計測では熱線の熱慣性が問題となる.非定常流中でも熱線温度を一定に保つ定温度型熱線回路を用いる場合,熱慣性の影響を無視することができるが,プローブリード線のごくわずかなインダクタンスによって回路が発振するという難点があり,微小振幅撹乱であっても100kHz以上の周波数域を測ることは困難である.また,振幅の大きな非線形変動の熱線計測には誤差がつきものであり,大振幅変動の場合の応答帯域は微小振幅の場合よりも低下する.応答周波数が高い定電圧型熱線回路は超音速流での変動計測に有望であるが,周波数帯域を広げるために熱線の熱慣性を補正する位相補償回路を付加する必要があり,熱線抵抗と熱線回路出力の関係が非線形となるため,大振幅変動の場合には低次の統計量である時間平均値にも変動成分が絡み誤差の原因となる. 本研究では,超音速乱流混合場への適用を考慮した大振幅非線形変動の計測に適した熱線回路の開発を行っている.これまでに,その動作原理と高周波数帯域化の可能性について確認した.しかし,回路の実装と超音速流における熱線の校正について問題が生じており,これが当初の研究計画よりもやや遅れている主な原因である.
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Strategy for Future Research Activity |
1.超音速流中の大振幅非線形乱流変動に適した熱線流速計の開発 前述のように,新しい熱線流速計の開発はやや遅れているが,その原因は回路の動作原理ではなく,回路素子の選定など主に回路の実装にあることを確認している.今後,種々の対策を行って問題点を取り除くとともに回路構成を確定する.また,作製した熱線回路を用いた校正法を確立し,下記の流れ場の計測に適用する. 2.超音速乱流現象の解明 上記の熱線流速計の開発と平行して,超音速乱流境界層や縦渦を用いた超音速混合場を定量化シュリーレン法や3次元PIV等を用いて計測し,超音速壁乱流機構や縦渦の崩壊過程と混合促進の鍵である混合遷移機構について調べる.また,1.の熱線回路を用いて計測を行い,他の計測法の計測精度を確認すると共に,超音速乱流現象について詳細に調べる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当無し
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Research Products
(6 results)