2012 Fiscal Year Research-status Report
陸上植物の雌雄細胞間コミュニケーションに共通する分子基盤の探索
Project/Area Number |
24570045
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
金岡 雅浩 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (10467277)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 花粉管 / 受精 / 花粉管ガイダンス / 胚珠 |
Research Abstract |
被子植物の受精において、移動能力を持たない精細胞は花粉管により胚珠の胚のうへと運ばれ、卵細胞・中央細胞と受精する。花粉管は雌しべの様々な組織に由来する、長距離・短距離で働くシグナルを受けて伸長方向を決定し胚のうへと到達すると考えられており、このメカニズムを花粉管ガイダンスと呼ぶ。本研究は、受精に至る過程において花粉管と雌しべ組織との間にどのようなシグナル伝達があるかを明らかにし、それに関わる分子の挙動や機能的実体を明らかにすることを目的とした。 花粉管の長距離ガイダンスに関わる因子の性質を明らかにするため、胚珠抽出液を様々なカラムを用いて分画し、新奇に開発したマイクロデバイスを用いて定量的ガイダンスアッセイをおこなった。陰イオン交換カラムによる分画で高活性画分が複数得られたが、もっとも活性の高かった画分にはLURE1, LURE2は検出されなかった。また、高活性画分の活性は、96℃20分の熱処理でも保持されていたが、ProteinaseK処理で完全に失われた。もっとも活性の高かった画分をさらにゲル濾過カラムで分画したところ、高活性画分が1つ得られた。また、別に得られた、高い花粉管ガイダンス活性を示す画分と、その隣のガイダンス活性を示さない画分とに含まれるタンパク質をiTRAQ法により比較したところ、高ガイダンス活性画分にはLURE2が含まれていることが分かった。このことからも、本デバイスを用いたアッセイ系は花粉管ガイダンス物質の探索に有効であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新奇花粉管ガイダンス現象について、多段階のカラムクロマトグラフィーにより活性のある画分を絞り込むことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
Torenia fournieri における新たな花粉管誘引物質は分子量が約27~50kDaと見積もられるなど、既知の誘引物質LUREsとは異なる性質を示した。今後は、質量分析による同定を試みる。また、助細胞から分泌される誘引物質LUREの立体構造をNMRを用いて決定する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実体顕微鏡 Olympus SZX7 50万円 研究用試薬など消耗品 100万円 旅費 20万円
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