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2012 Fiscal Year Research-status Report

物理的刺激による植物体サイズの変化が光合成機能に及ぼす影響:そのメカニズムと意義

Research Project

Project/Area Number 24570049
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

Research InstitutionNara Women's University

Principal Investigator

酒井 敦  奈良女子大学, 自然科学系, 准教授 (30235098)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2015-03-31
Keywords接触形態形成 / 窒素 / 光合成 / 機械的刺激 / 踏圧 / ストレス耐性
Research Abstract

平成24年度はシバ類4種とアラビドプシスを主要な材料として用い、踏圧処理の有無/強度をさまざまに変えて植物体のサイズ、窒素含量、光合成能力の変化を調査し、想定した「機械的刺激>小型化>窒素含量の増大>光合成能力の増大」という連鎖的反応が起こるか検討した。シバ類4種のうち3種(ギョウギシバ、ノシバ、ムカデシバ)については想定通り、踏圧処理回数が多いほど小型化し、窒素含量および光合成能力が増大するという結果が得られた。残る1種(バヒアグラス)については、踏圧処理回数の増加に応じた小型化と窒素含量の増大は起きたものの、光合成能力の向上は認められなかった。アラビドプシスについては、全体として踏圧強度に応じて小型化はしたものの、窒素含量と光合成能力は増大せず、むしろ減少した。しかしながら極めて低い踏圧強度範囲に注目すると、機械的刺激に応じた小型化と窒素含量および光合成能力の増大が認められ、連鎖的反応は成立していた。
以上の結果は、「機械的刺激>小型化>窒素含量の増大>光合成能力の増大」という連鎖的反応の成立は、植物種および刺激強度に依存することを示している。これまでに調査した植物種の中で、バヒアグラスおよびアラビドプシスは比較的踏圧耐性が低い。小型化の原因となる機械的刺激は本来ストレスであり、植物がそれに打ち勝って体サイズの縮小に応じた窒素含量の増加や光合成能力の増大を示すためには、当該ストレスに対しある程度十分な耐性を保持している必要性があるのかもしれない。一方、アラビドプシスのケースは、当該植物の耐性の範囲内であれば、「機械的刺激>小型化>窒素含量の増大>光合成能力の増大」という連鎖的反応は広い範囲の植物で起こる可能性を示唆している。今後、より多くの植物種について、ストレス耐性の程度と連鎖的反応が成立する刺激強度の範囲を検討する必要があるだろう。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当初計画していた調査対象植物のうち、オオバコ、エンバク、セイタカアワダチソウなどに関する調査が未着手であり、力学的強度に関する評価もできていないが、その他はほぼ予定通りに進んでいる。また、これらの未着手項目については平成25年度に実施可能である。

Strategy for Future Research Activity

概ね、当初計画通りに推進する。
平成25年度には、平成24年度実施予定で未着手の調査項目(オオバコ、エンバク、セイタカアワダチソウなどに関する調査、ならびにさまざまな機械的ストレス強度のもとで生育させた植物体各部の力学的強度に関する評価)、ならびに当初から実施予定であった大型化方向への変化に伴う連鎖的反応(機械的刺激の除去>大型化>体内窒素濃度の低下>光合成能力の低下)の有無について、ギョウギシバとクローバーを材料として調査を行う予定である。また、ノシバを材料に用いて、栄養環境の違いが小型化方向の連鎖的反応(機械的刺激>小型化>窒素含量の増大>光合成能力の増大)の有無とその程度に及ぼす影響を評価するとともに、平成24年度調査で窒素含量が増加したにもかかわらず光合成能力が向上しなかったバヒアグラスを材料に用いて、増加した窒素がどのように利用されているのかを調査する。
平成26年度には、アラビドプシスを用いて遺伝的要因が小型化方向の連鎖的反応(機械的刺激>小型化>窒素含量の増大>光合成能力の増大)の有無とその程度に及ぼす影響を評価する。平成24年度の調査結果から、アラビドプシスでは連鎖的反応が成立する踏圧処理強度範囲が極めて狭いことが示唆されているので、踏圧処理に代わる機械的刺激の方法も検討する(平成25年度から前倒しで実施)。さらに、接触形態形成に端を発する連鎖的反応ができない変異体を用いるなどして、こうした連鎖的反応が植物の適応度に及ぼす影響を評価する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

平成24年度は当初予定していた人件費が不要となるなどしたため、若干の次年度使用額が発生した。これについては平成25年度に物品費(消耗品費)として利用する予定である。

  • Research Products

    (1 results)

All 2012

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] 接触形態形成が窒素含量の変化を介して光合成能力に影響を及ぼす現象について:刺激耐性の異なる種間での比較2012

    • Author(s)
      野中菜乃美、田嶋允貴、酒井敦
    • Organizer
      日本植物学会第76回大会
    • Place of Presentation
      姫路
    • Year and Date
      20120915-20120917

URL: 

Published: 2014-07-24  

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