2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24570187
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
宗行 英朗 中央大学, 理工学部, 教授 (80219865)
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Keywords | 分子モーター / 生体エネルギー変換 / 非平衡 |
Research Abstract |
本研究では回転分子モーターであるF1-ATPaseが高い効率を生むメカニズムを明らかにするために,様々な回転特性を持つ変異体について野生型と並行した解析を行い,分子レベルの構造と有効ポテンシャル,エネルギー変換効率の関係を探ることを目的としている.今年度は,野生型についてHarada-Sasa等式による解析を行い,予備的ではあるがエネルギー変換効率が100%より低くなる条件をみつけた.これはATP濃度とΔμを高くしたような条件で,ステップ回転が見えにくくなる条件でもある.実験結果はなお確認の必要があるが,自由エネルギーの変換には熱浴からの熱の吸収が非常に重要であり,エネルギーの流れに関しての知見を与えうる結果ではないかと期待している. 一方,F1-ATPaseに対するヌクレオチドの結合の熱力学的解析を行いβサブユニット単体とα3β3γ複合体の間に次のような興味深い差異を見出した.すなわち,βサブユニット単体(βY341W)ではADPの結合は共にエントロピーの減少をもたらすがα3β3γ複合体(βY341W)ではADP結合でエントロピーの増大が見られた.GDPでも同様の結果が得られ,IDPでも同傾向の結果となった.この複合体に対するヌクレオチド2リン酸の結合によるエントロピー増加は,最近吉留らによって提唱された複合体内のサブユニットのパッキングに伴う水の遊離と並進エントロピーの増大に符合しており,結果をまとめてBiophysical Journalに発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
一応上記のように研究成果は出つつあるが,変異体の解析では具体的な成果が出ていない.それには単純な理由がある.興味深い変異体は普通,活性が落ちた変異体であるが,そのような変異体で統計的な解析が出来る程度の回転数を連続して観察するには長時間の顕微鏡観察が必要である.しかるに室温の微妙な変化などによるピントのずれがあるため,長時間の観察が出来ていないというのが現状である.これに対する方策は【今後の研究の推進方策 等】に記す.
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Strategy for Future Research Activity |
上記の顕微鏡観察中のピントずれを防ぐには,いわゆる自動焦点システムを導入する方法がある.しかし現在の顕微鏡の自動焦点システムで市販のものは倒立顕微鏡用で,我々の回転電場抱擁の正立顕微鏡には使えない.また非常に高価でることも難点である.そこで現在,取込中の画像のコントラストをリアルタイムに算出してピントを合わせてゆくシステムを考えている.画像取込システムは既にLabviewで構築してあるが,これを改造してコントラストを計算させ,その変化を元に戻すように対物レンズを動かす.対物レンズを制御して動かす,あるいはフォーカスリングを回すシステムは比較的安価に市販されておりことを確認済みで,このシステムを早期に立ち上げようと考えている.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
【現在までの達成度】の項に「やや遅れている」と記したとおり,顕微鏡のピントずれの問題の解決が遅れて予算としては温存することになった. 【今後の研究の推進方策 等】に記したとおり,顕微鏡のピントずれを補正するシステムを構築することに予算を使って2014年度分とあわせて当初の計画通りの支出となる見込みである.
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[Journal Article] Basic properties of rotary dynamics of the molecular motor Enterococcus hirae V1-ATPase.2013
Author(s)
Minagawa Y, Ueno H, Hara M, Ishizuka-Katsura Y, Ohsawa N, Terada T, Shirouzu M, Yokoyama S, Yamato I, Muneyuki E, Noji H, Murata T, Iino R.
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Journal Title
J Biol Chem.
Volume: 288
Pages: 32700-7
DOI
Peer Reviewed
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