2013 Fiscal Year Research-status Report
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24570190
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
谷生 道一 分子科学研究所, 物質分子科学研究領域, 特任助教 (10416662)
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Keywords | 分子内情報伝達 / タンパク質 / 相互作用 / NMR / 分子内アロステリー |
Research Abstract |
本年度は、昨年発見したヒトPLC-δ1PHドメイン(hPH)における分子内情報伝達の分子機構の詳細を調べるため、[α-15N]Lys残基選択的標識hPHのNMR解析を行った。まず、[α-15N]Lys標識hPHの1H-15N HSQC NMRスペクトルを測定し、部位特異的変異導入によりhPHに含まれる10個のLys残基をそれぞれAlaに置換することで各NMR信号の帰属を行い、それを元に、種々の変異体hPHのNMR解析を行った。その結果、(1)非基質結合状態のhPH分子内にはLys30、Lys32およびLys43によって主に構成される相互作用ネットワークが存在すること、(2)基質結合に伴ってその相互作用ネットワークが変調を起こし、Lys57およびPhe87側鎖が関与する新たな相互作用ネットワークが構築されることが明らかとなった。また、hPHに特徴的に存在する短αヘリックス(α2:残基82-87)は、少なくとも2状態のコンフォメーション間を12 Hz程度の速度で交換しており、基質結合に伴って一方のコンフォメーションに安定化すること、さらにその安定化にはPhe87側鎖フェニル環が不可欠であることが明らかとなった。 また、別のタンパク質の例としてヒトM-フィコリン病原体認識ドメイン(FD1)について、その分子内情報伝達様式を調べるために、安定同位体標識したFD1の単量体変異体(F127S/L128S)について、NMR信号の帰属を行った。その結果、約9割のNMR信号帰属に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の第一の到達目標は分子内情報伝達経路の同定であり、特に、Lys86が含まれるα2ヘリックスとIP3結合部位との相互作用鎖に関与する残基の同定であった。これに関しては、Phe87側鎖とLys57側鎖の関与を明らかにすることに成功した。また、この分子内情報伝達機構には、基質結合に伴う相互作用鎖の再構築およびダイナミクス変調も関与するという新たな知見を得ることにも成功し、原著論文1報にまとめることが出来た。 また別のタンパク質の例として、ヒトM-フィコリンの分子内情報伝達機構の解明を進めるために、M-フィコリンの病原体認識ドメイン(FD1)の単量体変異体のNMR信号帰属を行い、原著論文1報として発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
hPHのNMR解析において、基質結合に伴い、他のLys残基とは異なる得意な挙動を示す残基を発見した。今後、この挙動を起こす原因を探るべく、変異体のNMR解析を行う予定である。また、フィコリンについては単量体であるがその基質結合ドメインについてのNMR信号の帰属が完了したため、三量体FD1および三量体全長M-フィコリンについてのNMR解析を進める予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度末に予定していたブレビバチルスを用いた組換え遺伝子実験に使う試薬代として使用する予定だったが、別機関に異動することが決まったため、購入を中止したため。 移籍後の機関において、予定していた組換え遺伝子実験を行うための試薬の他、NMR解析のための安定同位体標識用試薬および精製用試薬を購入する。
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