2013 Fiscal Year Research-status Report
RNA結合タンパク質によるmRNA安定性と翻訳のファインチューニング
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24570192
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
入江 賢児 筑波大学, 医学医療系, 教授 (90232628)
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Keywords | 遺伝子発現制御 / 出芽酵母 / RNA結合タンパク質 / ポリA鎖分解酵素 / mRNA / デキャッピング / 細胞壁 |
Research Abstract |
これまでに、出芽酵母のRNA結合タンパク質であるKhd1とポリA分解酵素であるCcr4が、低分子量Gタンパク質Rho1のGuanine nucleotide exchange factor (GEF)をコードするROM2 mRNAの発現を正に制御し、Ccr4が単独でRho1のGTPase-activating protein (GAP) をコードするLRG1 mRNAの発現を負に制御することを見出してきた。Rho1は出芽酵母の細胞壁合成に関与しており、khd1Δ ccr4Δ二重変異株では、ROM2の発現が低下し、LRG1の発現が上昇する結果、Rho1の活性が低下し細胞壁の合成異常となり、著しい増殖遅延を示す。今回、Ccr4と同じくポリA鎖分解酵素であるPop2と、デキャッピング酵素活性化因子であるDhh1が、ROM2 mRNAやLRG1 mRNAの発現に関与し細胞壁合成に機能しているかを解析した。その結果、ROM2 mRNAレベルは差がなかったが、LRG1 mRNAレベルは、pop2Δ株、dhh1Δ株において野生型株に比べて上昇していた。次に、pop2Δ rom2Δ株、dhh1Δ rom2Δ株を作製し、各変異株の増殖を比較した。その結果、pop2Δ rom2Δ株、dhh1Δ rom2Δ株の増殖速度は、それぞれpop2Δ株、dhh1Δ株に比べて著しく低下した。よって、Pop2 とDhh1はLRG1 mRNAの発現を負に制御し、その効果が表現型に顕著に現れることが示唆された。次に、pop2Δ rom2Δ lrg1Δ株、dhh1Δ rom2Δ lrg1Δ株を作製し、各変異株の増殖を比較した。その結果、pop2Δ rom2Δ lrg1Δ株、dhh1Δ rom2Δ lrg1Δ株の増殖速度はrom2Δ lrg1Δ株よりも低下した。このことから、Pop2およびDhh1 は、LRG1 mRNA以外のmRNAも制御して細胞増殖に関与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は以下の(1)から(4)である。 (1) RNA結合タンパク質Khd1とポリA鎖分解酵素Ccr4によるmRNA安定性と翻訳の調節機構について、細胞壁合成に関わるターゲットmRNA群の詳細な調節機構を明らかにする。ターゲットmRNAごとに異なる調節を、さまざまな周辺因子との遺伝学的相互作用から明らかにする。(2) 細胞壁合成に関わるmRNA制御において、遺伝学的相互作用から、ヒトAtaxin2の酵母オルソログPbp1、デキャッピング酵素の周辺で働くDhh1, Pat1, Edc1、翻訳調節因子Caf20などさまざまな因子が関わることがわかってきた。これらの因子はターゲットmRNAも作用機構も未だ不明であるので、それについて明らかにする。(3) シグナル認識粒子サブユニットSec65はKhd1と結合し、細胞壁合成にも関わる。Sec65がmRNA安定性制御と翻訳制御の機構にどのように関わるかを明らかにする。(4) 出芽部位のRho1を介した局所的な細胞壁合成、出芽の先端成長、細胞壁維持には、Khd1, Puf5, Ccr4, Pop2などさまざまなmRNA制御因子が関わる。Rho1の活性調節におけるRNA制御の全体像を明らかにする。 このうち、(1)については、ターゲットmRNAであるLRG1を同定している。(2)についてはPbp1の機能が明らかになってくるとともに、Dhh1など他の因子の解析もすすすんでいる。(3)について、Sec65もLRG1 mRNAの制御に関わることがわかってきた。以上のように、研究はおおむね順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的は以下の(1)から(4)である。 (1) RNA結合タンパク質Khd1とポリA鎖分解酵素Ccr4によるmRNA安定性と翻訳の調節機構について、細胞壁合成に関わるターゲットmRNA群の詳細な調節機構を明らかにする。ターゲットmRNAごとに異なる調節を、さまざまな周辺因子との遺伝学的相互作用から明らかにする。(2) 細胞壁合成に関わるmRNA制御において、遺伝学的相互作用から、ヒトAtaxin2の酵母オルソログPbp1、デキャッピング酵素の周辺で働くDhh1, Pat1, Edc1、翻訳調節因子Caf20などさまざまな因子が関わることがわかってきた。これらの因子はターゲットmRNAも作用機構も未だ不明であるので、それについて明らかにする。(3) シグナル認識粒子サブユニットSec65はKhd1と結合し、細胞壁合成にも関わる。Sec65がmRNA安定性制御と翻訳制御の機構にどのように関わるかを明らかにする。(4) 出芽部位のRho1を介した局所的な細胞壁合成、出芽の先端成長、細胞壁維持には、Khd1, Puf5, Ccr4, Pop2などさまざまなmRNA制御因子が関わる。Rho1の活性調節におけるRNA制御の全体像を明らかにする。 上記の目的を達成するために、(1)では、LRG1 mRNA以外のターゲットmRNAの同定、(2)では、Pbp1とリボソームの作用機序の解明、デキャピング酵素活性化因子のターゲットmRNAの同定をすすめる。(3)では、Sec65のmRNA安定性における役割を明らかにするとともに、(4)のRho1の活性調節におけるRNA制御の全体像に迫れるように研究を遂行する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は試薬、消耗品をできるだけ節約し、マイクロアレイ解析など、本実験の遂行完了に必要な実験に予算を使おうとしたため。 LRG1 mRNA以外のターゲットmRNAの同定のため、マイクロアレイ解析を行う予定であり、それに使用する。
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Research Products
(2 results)